Saturday, October 20, 2007

国家とか若者とか

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①国家の品格 <藤原 正彦>

世な中に数多く出回った本。
書き手が数学者というのが面白い。

「論理」と「情緒、形」のバランスを考える。
筆者は今の日本、そして世界がおかしいのはは論理至上主義のほころびだと考える。
それを治すのは日本人が伝統的に大事にしていた情緒や形というものであり、すこし言い過ぎだろというようなレベルでこれらの大切さを説いている。
しかし、「論理が悪」という誤解だけはしないように気をつけなくてはならない。どちらが一方的に大切だといっているのではなく、あくまでもバランスの問題だからだ。

賛否がかなり分かれそうな内容だが、アメリカ式のやり方が急速に日本にも拡がる中、多くの人がこのような本を読むこと自体には非常に価値があると思う。
文章は敬体で柔らかく、読みやすかった。

②他人を見下す若者たち <速水 敏彦>

かなり乱暴に、筆者の主観を書き連ねた本。
それが全体の印象。

まず、全体として言っていることは、
旧エリート型の他者軽視とは違い、弱い自分を保護するために働く機能である仮想的有能感とリンクした、新しい他者軽視が現代社会の若者を中心に急速に広まっているという内容。

旧エリート型他者軽視というのは、本文を抜粋すれば、
「青年は高い理想を尺度として、他人や一般社会を眺める。その高い理想にくらべると、他人の能力や社会の現実はあまりにも低級で汚れたものを感ぜざるを得ない。そこで、青年は、それらを軽視する。ところで、外に対する軽蔑は、おのずと相対的に、自尊・自負の情を誘発するのである。」
というものだ。
一方で、著者の論じるテーマは、現実的な有能・無能、状況、思想などとは関係なく、個人が無意識に自己防衛的に発動させる仮想的有能感。そしてそれとリンクして起こる他者軽視は、旧来のものとはまったく別の機構で起きているというわけだ。

着目したところはおもしろいと思が、その仮説を書いているだけで、真実性はまるでない。そのことについては著者も何度も注釈を入れているが、本にするには時期尚早だろう。

ちなみに、題名もキャッチーなものにしてあるが、この題ではどっちの他者軽視なのか読んでない人には分からない。というか、多くの人は、旧エリート型の他者軽視を思い浮かべるだろう。
データを集めて、もっとうまい切り口で書いて、リベンジしてほしいものだ。次に期待。
 

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