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このところ、本を読みっぱなしにしていたが、かなり久しぶりに読書メモ。少しでもいいから書くようにしよう。
①プレゼンテーションzen デザイン <ガー・レイノルズ>
前作も読んだが、きっと眺めるだけでも楽しい、と思って購入。
本書はスライドの魅せ方・作り方について細部にわたって指南する本。相変わらずデザイン専門書のように美しい構成。
僕の場合、本書で「意識をしろ」と書かれていることについては、幸いすでに大抵理解している。それはデザインという営みが好きだから。ただ、それを実際に自分のアウトプットに反映させられるか、美しいスライドを作れるか、それは話が別だ。デザインは頭で理解して全てが終わるものではない。日々何に注意を払って過ごしているか、どういうものに刺激を受けているか、どういうデザイン、アートを見ているか…そういうものが全てアウトプットに響いてくる。つまりは一朝一夕ではマスターできないもの。
但し、プレゼンテーション用スライドのデザインをより良いものにするという目標を立てたとき、本書のような本を読むことは目標達成への近道となる。いいもの、洗練されたものを数多く見ることによって、それが肥やしになるからだ。特に、本書では実際のスライドデザインが数多く出てくる。
最近、堅苦しい会社の中でも、チャンスがあれば意識的にプレゼンテーションzenやアップルのような趣向のスライドを作るようにしている。美しいスライドを作るのは楽しいし、またプレゼンテーションとしてもやはり高い効果を生むからだ。
プレゼンテーションではよく「コンテンツ」と「デリバリー」ということが言われる。両方大事で、いい内容でも伝え方が下手ではしょうがないということ。僕は最近この「デリバリー」に内包される要素として「リテンション(retention)」を意識するようにしている。伝えたものをどれだけ人々の記憶に留めるかということ。大量の情報を日々浴びるビジネスパーソンのみならず、現代人は情報の洪水の中にいる。コンテンツが溢れ、「デリバリー」のうちの本当の「伝達」部分の手段が増えた現代では、いかに情報を他の情報と質的差別化し記憶に残すかということが重要になってくる。そういう観点で考えたとき、グラフィカルで美しい、シンプルなプレゼンスライドというのは非常に効果的なのだ。
世の中が素晴らしいスライドで溢れたら、それは人類的には進歩なのだろう。ただ、今は汚い、センスのないスライドが溢れているのが現状。そしてそれを見て、こう思ってしまう。「ありがとう。」悲しいかな、差別化が容易なのだ。
②V字回復の経営 <三枝匡>
あまりにも有名な三枝三部作の一つ。
相当長い間積読していたが、やっと読了。積読冊数がさすがにやばい。
読み終わった感想は、副題の「2年で会社を変えられますか」に対して、「……ふぅ(冷や汗)」という感じだ。それだけ腐った巨体を立て直すのは大変。本書ではリアルな企業再生を感じることができる。そのかわり非常に厳しい本。
コマツでの実話をもとにした、表面的なフレームワークではなく、人と現場をどう変えていくか、について死ぬほど示唆に富んだ内容となっている。いい本だとは聞いていたけれど、これほど面白いとは。
途中何度も、これってうちの会社じゃない?とか、自分もこういうところあるな…とか感じた。たぶん多くの企業が同じような問題を抱えているので、誰が読んでも仕事のヒントになるはず。社内で全社員必読の書としてもいいんじゃないか、とも思う。
中でも印象に残ったのは、プロジェクトチームの各自が問題点(と感じること)や本音をカードに書き出し、そこからボトムアップ的に何かを抽出しようという、よくある作業をしている場面。
「カードを何百枚出したところで、あるいは、停滞企業の病気をその会社の「社内常識」でいくら分類したところで、抜本的解決の糸口は見えないことが多い。今まで繰り返された議論がまた繰り返されるだけになりがちである。」
「皆さんはこれらの問題を分類しようと試みてきました。しかし今必要なのは、分類手法ではないのです。…われわれに今必要なものは?…」
「皆が参照すべき『考え方』つまり『コンセプト』ですよ…お互いの認識の共通基盤がなくて…つまり、社員一人ひとりが拠り所にしている考え方、理論、コンセプト、思想がバラバラだったら…集団として現実を整理することはできないのです。」(p130)
すばり。言うは易しかもしれないが、これは本当に大事な考え方。何もこれほど大規模な「作業」でなくても、どんな議論でも同じ。議論がうまく進まないときや、問題の糸口が見えないときには、こういう根本的なことを見直す必要がある。会議室に張り紙でもしておきたいぐらい基本かつ重要なことだと思う。
他にも、それこそ社内に「張り紙」をしたいようなことが詰まっているのが本書。
もちろんストーリーも面白い。間違いなくおすすめです。
Monday, August 16, 2010
Zen Design
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