Monday, June 29, 2009

北欧空間辞典

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北欧空間辞典 <フィンランド政府観光局>

とりあえず装丁が美しかったので購入。
北欧諸国には昔からかなり興味があるものの、遠い、寒そう…ということで残念ながら行ったことがない。北欧の何に興味があるかというと、そこで生まれるデザイン、音楽…つまりは独特な文化。長期滞在すれば人生観変わりそうだ。
文化形成にあたって「気候」は非常に大きな要素だと思う。北欧のように日照時間が短く、寒ければ当然家の中で家族と過ごす時間も多くなるだろう。だから多くの人が家の中のデザインにも敏感になるんじゃないかな。
北欧デザインの特徴となる色は赤と黄色。寒い気候から必然的に好まれる暖色なのだろう。同じ色の家具を日本の暖かい地方に置いても、北欧デザインのその雰囲気は出ない。やはりデザインとか色とかそういうものはその土地と文化の下地の上に浮かぶもので、切り離せないものだなとつくづく感じる。結局日本には日本のデザインが一番合う。

本書内で触れられていた北欧デザインの中で、「イス」をいくつかピックアップしておく。
北欧のデザイナーのイスは好きなものが多い。

BALTIC / オーケ・アクセルソン (スウェーデン)

無機質な感じがたまらないね。脚の構造は若干弱そうだけれど、この形のシンプルさが素晴らしい。
やはり無機質なテーブルに合わせたい。

TRINIDAD / ナナ・ディッツェル (デンマーク)

名作。すごい自然を感じる。カリブの島々の糸鋸細工からヒントを得たらしいが、僕は貝殻を連想する。
本書内ではこのイスが所狭しと並んだレストランが紹介されているが、たくさん並んでいる方がより味というか雰囲気が出る気がする。

EGG / アルネ・ヤコブセン (デンマーク)


SWAN / アルネ・ヤコブセン (デンマーク)

この2つは建築、家具ともに有名なヤコブセンの作品。こちらは単品で欲しいところ。ちょっと広めの部屋にポツンと置かれていたりしたら、そこに座っていつもと違った思考ができそう。物思いにふけるのもよし、本を読むのもよし。
 

Wednesday, June 24, 2009

構造は?

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北京のMADが手掛ける奇天烈建築がまたもDubaiに?
Al Rostamini Group のHQとして作られる模様。
かなり構造が謎だ。よく倒れないな…


大地から突き出てくるような、木の根を感じさせるデザインは面白いのだけれど、ほんとにやるの?という感は拭えない。途中で頓挫しないことを願います。

MAD: http://www.i-mad.com/


具体化はしていないものの、Dubaiにはこんな気違い?な構想まであったりして、人種的な「感覚」なのだなと納得してみたりもする。



建築として多少品がなくても、このサイズでやってしまうことにやはり興味津々。
椅子で遊ぶならまだしも…
※この椅子はかなりお気に入りです。


 

Monday, June 22, 2009

PROJECT OF LIFE

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人生のプロジェクト <山崎拓巳>

写真をたくさん使ったこの手の本が最近増えている気がするが、ちょっと疲れたときにふと読みたくなる類の本でもある。著者の本は本書が初めてなのだが、「デザイン」としてはなかなかいい本だった。

残念だったのが、月並みな問題解決ツールと、多くの自己啓発本に書いてあるような仕事術の紹介が真ん中にはさまってしまっている点。全10分間の静かな映画の合間にガチャガチャしたB級映画の宣伝が5分間も入ってくるようなうっとうしさ、陳腐さを感じずにはいられなかった。本書は終始抽象的で詩的な内容であるべきだったのではないだろうか。中途半端な具体は品が無い。まあ「企画者」が何をやっている人なのかを見ると、本書がこうなってしまった理由が分かるが、もったいない。

全体の構成はさておき、当たり前のようでいいフレーズが散りばめられている。
読了後、個人的に頭に残ったものを本棚にしまう前にメモ。

Quote


二人の男がレンガを積んでいた。

「君たちはなにをしているんだ?」とたずねると、
一人は「レンガを積んでいるんだ」と答えた。
もう一人は「教会を造っているんだ」と答えた。

そして二人の未来は、まったく違うものになった。



怖がらなくてもいい。死ぬこと以外はかすりキズだ。



「めざす」と「がんばる」は違う。
「がんばっている」が「めざしていない」ときがある。
この違いは見分けにくいが、大きく違う。

「めざす」とは“目標と期限”が明確で、
その達成のために、意思を持って行動することである。



誰かが仕立てたストーリーではなく、
あなたからはじまるストーリーを。

Unquote


①は常々意識はしているものの、ふとした瞬間に忘れてしまうこともある視点。
この視点ってデメリットあるかな?…ないと思うな。
もっと頻繁に自分に問うてみようと思う。

ここに書いてしまえばなんでもないようなフレーズがサさるフレーズに変わる…デザインってすごいな、やはり。
 

Monday, June 15, 2009

問題解決型思考の教科書

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会社で著者の研修を受けることになり、事前配布された2冊。

①世界一やさしい問題解決の授業 <渡辺健介>

巷で非常に売れた話題作。
問題解決系、ロジカルシンキング系の本は既にだいぶ読んでいるので完全にスルーしていたのだが、こうして手元に届くとは…
内容はやはり平易。「世界一やさしい」と書いてあるが、おそらくそうなんだろうと思う。そもそも本書のターゲットとなる真の読者は誰なのだろうか。著者の活動、あとがき、本のつくりから判断するとどうみても中高生というところなのだが、実際に書店でこういう「世界最高峰のコンサルティングファーム」の方が書いた本を買うのはビジネスパーソンであるわけで、どうもはっきりしない。
対象を本当に中高生にするのだとしたら非常に良い本だと思う。頭のいい人はなかなかこれほど簡単には書けないものだが、見事に思考のプロセス・切り口を説明できている。著者のデルタスタジオという会社にはけっこう期待。
ただ、個人的には新しい内容はなく、非常にきれいな状態のまま本棚へ。


②自分の答えのつくりかた <渡辺健介>

続編?のこちらの方がだいぶ面白かった。
内容はやはり非常にやさしいロジカルシンキング、問題解決型思考の紹介なのだが、ストーリー仕立てで子供もすいすい読めそうだ。対象は高校生~若手社会人(のうちロジカルシンキングの初学者)あたりなのではないかと感じた。前作の売れ方を見てからの軌道修正なのか、それとも最初からの構想通りなのか、気になる。むしろその辺りをこっそり聞いてみたい。

第2作については共感できたところ、面白いと思ったところをいくつかメモしておくことにする。

『そう、差は追い込まれないと見えないものなのである。』(P17)

これはかなり感じている。あまりにも余力のある状態で仕事をしていると、周囲の人との差は良くも悪くも感じない。「誰でもできる」状態なのだから当然と言えば当然。余力がどれくらいあるかを計るのは難しい。追い込まれた状態(負荷がかかっている状態)になって初めて実力差が見えてくるもの。人はある程度周囲の環境に刺激を受けながら成長する生き物なので、やはりヌルい環境というのはある種の危険性を孕んでいる。ライバルやベンチマークは意識的に外に置きたい。

『これまで「自分の価値観」だと思っていたことが、実は自ら意識して選んだものではなく、単に生きてきた環境の価値観をそのまま受け入れていただけだということに気づいた。』(P91)
『自分が思い込んでいた「自分らしさ」とは、あくまで特定の環境を前提としていたこと、環境と立場が変われば一瞬にして吹き飛ぶものだったことを、身をもって体感したのだ。』(P104)
『社会的にどうだなんて表面的なことよりも、自分のモノサシを持って生きて行くことが一番重要だと実感できる。』(P105)

かなり意識的に注意してもしきれないほど陥りやすい罠。考え様によっては罠でも何でもないのだが、自分の意志で自分の人生を創って行こうという人にとっては間違いなく罠だ。本当に自分はどういう生き方をしたいのか、何故生きているのか、絶えず自問自答し続けなければならない。
たまに友人や後輩に言うのだが、自分の存在が世の中というジグソーにおける一つのピースだとするのならば、生き方は大きく分けて2つだ。周りのピースの形に合わせて(外部からの力によって)自分が変形されすっぽりと埋まるか、それとも自分の形は自分で創り、その形が上手くはまる場所を全世界(ジグソー全体)から探すか。解はみなそれぞれが持っている。どちらも最終的にはすっぽりと納まるのだからどちらが正解とは言えない。ピースとピースがお互い良い意味で影響し合える状態を経由するが、僕は結局後者の生き方をするつもりだ。前者を「和を以て尊し」とは考えない。ただpassiveなだけだというのが個人的な考え方。

『正しいと思うことを貫くのは、こんなにも大変なものだったのか。』(P248)

これは考えていかなければならないテーマだと認識している。世の中に万人が良しと思う選択というものはなかなか存在しない。反対者が常に一定数いる中で、自分や自分の周囲にいる人をどうやって守っていくのか、難しい問題だ。本書は問題解決型思考、ロジカルシンキングを教えることに留まらず、そうした思考を使いこなす人が直面するであろう問題にも所々で触れている点が素晴らしいと思う。


その他、テクニカルな部分で2つ。
・pros/cons をそのまま受け入れるのではなく、主体的に仕掛けて変えられないか常に疑ってみる。
⇒consが意外と簡単に消えたり、prosになったりするかも…etc

・相関関係と因果関係
⇒相関関係があるからといって因果関係が成立するわけではない。一方で、相関というのは重要なヒントにもなる。このあたりが仮説構築と検証の段階で非常に重要。
 

Tuesday, June 09, 2009

辻井伸行さんのピアノ

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すごい。Van Cliburn国際ピアノコンクールで20歳のピアニスト辻井伸行さんが優勝。日本人としては史上初の快挙だ。
http://www.cliburn.org/index.php
以前からすごくあったかいピアノを弾くなと思っていたのだが、優勝だなんてびっくり。去年サントリーホールで開かれたコンサートに行くか迷って結局行かなかったのが非常に悔やまれる。仕事中に優勝の情報が入ってきて思わず一人舞い上がってしまった。梯剛之さんの『木枯らしのエチュード』を初めて聞いた時も鳥肌が立ったんだけれども、辻井さんのピアノの人間っぽさは何とも言えない。全盲だからどうだという論をする気はないが、人間の五感、そして才能というのは不思議なものだと感じる。最近こういう全身震えるような感覚の揺さぶりを受けていなかったのですごく新鮮だった。

あまり探していないんだけれど、5/23の本予選のカンパネラの映像が以下。



同じく5/23の本予選のエチュードOp10



6/4 ファイナル初日に弾いたショパンのピアノ協奏曲第1番



とにかく感動してしまった。
何だかもう本当に幸せだし、元気がでました。
個人的に本予選からファイナルまで好きな曲が多すぎてそれにもびっくり。ファイナルで弾いたラフマニノフのピアコン早く聴きたい…

辻井伸行 official site
http://www.nobupiano1988.com/

LINK ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
 

Sunday, June 07, 2009

アイデアのつくり方

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アイデアのつくり方 <ジェームス・W・ヤング>

いたる所で引用されている古典的名著で、存在自体は知っていたものの読んでいなかった。
最近友人のうち3人が読んでいたことを知り、かつそこそこ高評価だったので読んでみることに。

Newtonの初代編集長だったりする地球物理学者、故・竹内均氏が解説を書いていることにむしろ驚きつつ読み始めたが、本文のあまりのコンパクトさにびっくり。ほんとにエッセンスだけ書いたという感じ。

内容は以下に数行で書けてしまう。

①アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない。
②それを創出する技術は訓練によってほとんど誰でも習得しうる。

というのがコアで、さらに、アイデアが生まれるまで(アイデアを創出するまで)のステップは意識的にも無意識的にも以下の5段階だという。
(1)情報の収集・貯蔵
(2)情報の咀嚼
(3)情報の組み合わせ(無意識下)
(4)アイデアが突如出現→捕獲
(5)具体化・現実化

以上だ。

①は耳にタコができるぐらい聞き続けていることで、斬新さのかけらもないが、たぶん世に出ているアイデア創出に関する書物や記事がむしろこの古典を由来とするものなのだろう。(もしくは本書よりももっと前からある考え方かもしれないが)
(1)~(5)のプロセスも至極普通。僕個人としてもかなり実感がある。ただ、意識的にやろうとするとかなり難しいし、うまくコントロールできない。

②は希望的観測。本書で言う「アイデア」がどんな種類の「アイデア」かによる。
本書では芸術や科学領域にも多少言及し、「広告」というビジネスフィールドでの「アイデア」からあらゆる「ひらめき」にまで「アイデア」という単語の意味を拡張しているように思える。ビジネスフィールドや下手すると科学領域まででの「アイデア」に関しては確かに本書の纏めは本質的。99.9%の凡人でも訓練次第で99.9%までのアイデアは作り出せるのだろう。希望の書であるし、多くの人が読むに値する価値ある書だと思う。僕もおそらく99.9%の凡人側なので、ヤングの纏めた前提やプロセスを意識することは非常に有用だと思う。

ただしかし、「アイデア」という単語の守備範囲をあらゆる「ひらめき」、「クリエイティブ」というところまで拡げた場合、ヤングは非常に頭が良く示唆に富んでいるが、残念ながらおそらく99.9%の凡人でしかない。それが僕の意見。そもそも真の「アイデアマン」、「ひらめきすと(勝手な造語)」、「創造者」、「芸術家」はこういうプロセスを無意識的にも踏まずして内発的に新しいものを生み出すのだろう。ヤングの言うアイデア創出プロセスはインプットありきだが、インプットがなくとも天才は自分の中から何かを生み出す。無垢な子供や赤ん坊が天才的なアウトプットを生み出すこともしばしば。それも無意識的に情報の咀嚼、組み合わせをやってのものだろうか?そんなことはないと思う。

大人になっていくにつれ「枠」に支配されるようになる。情報の収集・貯蔵・咀嚼でアイデアの元となる種の量と質を高めても、そしてその組み合わせ方は莫大だとしてもそれは有限なもの。出てくるアイデアは、機械が膨大な順列組み合わせ計算の結果として捻り出せるレベルのものなのだろう。そうではなくて、考え方の枠を設けず、既存の要素の組み合わせという「有限」の世界から脱却してこそ人間のみが創出しうる天才的アウトプットがあるのではないだろうか。

僕はおそらく凡人だが、それでもアイデアというものを大人の思考方法で「檻」に閉じ込めたくない。
別な言い方をすれば、人間のもつ創造力の可能性をもう少し信じたい。
 


ところで、本文とは別に、竹内氏の解説の中で印象に残った部分が2箇所あったのでメモ。

『デカルトによれば、人々はそれぞれの人生の大目標をもっており、その実現に全力をそそいでいる。しかしその一方で、人々は日常的な生活を生きなければならない。この場合に、その日常的なことがらの一つ一つについて熟考するのは面倒なことであり、頭脳と時間の浪費でもある。こういう場合には、最も常識的で最も穏健な意見にしたがうのがよい。どうでもよいことについては中庸の道を選ぶことによって、われわれは自分自身の人生の大目標に全力を集中しえる。このように考えると、中庸はいい加減な人生を生きる中年の処世術といったものではなくて、積極的な徳目である。』(p81)

デカルトは全然読んでないんだけど、今度岩波文庫辺りから攻めてみようと思う。「積極的な徳目」ってすごいな…


『私の考えでは、①好きなことをやり、②それで食べることができ、③その上それが他人のためにもいささかの役にたった人生が自己実現の人生であり、理想の人生である。』(p87)

これはすごい。僕が昨年の人事書類でしれっと書いたこととほとんど同じ(もうちょっとマイルドに書いたが)。"just参考"で仕事観、人生観を自由に記入する欄だったにも関わらず、上司に目をつけられ…
確かに勤め人としては的外れな戯言なんだけれど、そういうの潰しにかかってくるのはどうなんでしょうね。
 

Wednesday, June 03, 2009

広告ノキソ

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①広告の基本 <波田浩之>

広告ビジネスに明るくない人にとってはかなりの良本。
少なくとも、僕には分量やレベル感が丁度良かった。広告に関する全体観を短時間で得ることが可能。
特に、様々な形態の広告の「相場」が載っているので非常に役立つ。ネットや専門文献で探せばもっと時間がかかり、かつ断片的になってしまうところを上手く纏めてある。こういう本の存在は、純粋な情報取得のツールとして「本」という形態がまだまだ成り立つ(ネットに負けずに)証拠と言えるだろう。

僕たちの身の回りにはこれでもかというぐらい広告が散りばめられているが、広告を出す側、広告を作る側の立場に立ってそれらを見ていくとなかなか勉強になる。その「思考する」土台として本書の情報レベルと量は必要十分。特に雑誌広告と交通広告の相場は初めて知ったのだが考えさせられることが多い。駅のホームで遠くのポスターや看板を見てボーっとしていられなくなった。


②「仕組み」整理術 <泉正人>

異動直後に、心機一転、何か整理術に関するtipsでも取り入れてみるかと思い読んだのだが、如何せん内容が薄い。整理ができていないためにどうでもいい懸案事項が頭の片隅に残り、その分思考力や能率が落ちるというのは全く同感なのだが、1冊の本にしてはtipsが少なすぎる。

以下、そんな中でも2点、超アナログなんだけれどいいもの。

Ⅰ.「よく使うものは定位置に」
当たり前のようだが、意外と意識が足りなかった。ペンやステップラー、ポストイット、ハンコなどを意識して定位置化してみると、それだけで1日あたり10分以上は浮いた気がする。集中力が全く途切れずにすみ、モノを取る動作の前後に発生する思考的ロスがない。

Ⅱ.受け取った書類の2段トレー整理
ちょっと前のエントリーでもたまたま書いたのだが、僕は3段トレー使用。
シンプルなようで効果は絶大。自分なりの分かりやすいルールをトレーに適用すれば、集中力アップ。余計なことに頭のメモリを食われずにすむ。
これも多分 10分/1日 程度の効果あり(体感)。
 
 

Monday, June 01, 2009

音楽会議4に参加

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「百式」× YAMAHA音楽会議4に参加してきた。

金曜夜のイベントだったが、何もメモせずにずるずる来てしまった…しかし明日からまた「家は寝るだけ」的な生活が1週間始まりそうなので今簡単に書いておくことに。

テーマは「音とケータイ」の組み合わせでどんな生活やビジネスが可能になるか。
僕は携帯電話というアイテムにはかなりまどろっこしさを感じていて、iPhoneやBlackBerryはおろか、フツーのケータイに備わっている機能の10%しか使わない生活をしている。それゆえに、「まどろっこしい」イメージのケータイと、「音×ケータイ」のテーマで浮かぶ夢のようなアイデアとのギャップは相当なもので、並の飛躍じゃ埋められないと感じていた。アイデアに蓋をしていたわけだ。ところが、YAMAHA社員の皆様の「夢見る力」と本気度、それからイベント参加者の自由な発想に大いに刺激を受け、カチカチの会社の中で早くも自分が「柔軟性の劣化」を起こし始めていることを改めて認識。先週と同じ仕事をしながらも今週からはもっとエキセントリックにいかなければと腹をくくる(風当たりはそれなりに厳しい)。

こういう社外イベントへの参加は、目線の修正とモチベーションアップのためであることが多いのだが、今回はテーマが「音」に関するものであること、そして集まったみなさんがバラエティに富んでいて面白かったこともあり、久しぶりにエキサイティングなイベントを楽しむことができた。主催の田口さん、YAMAHAさんには感謝です。田口さんには初めてお会いしたのだが、これまた面白い方で、IDEA*IDEA など今まで以上に毎日楽しく読めそうだ。終電を逃がす結果となったが、懇親会も楽しかったしまた是非イベントに参加したい。


イベントの内容は…
「音楽会議4」でググれば他の参加者の方のレビューがいろいろ出てくると思うので基本的にそちらをご参照。印象に残った、というかかなり欲しかったYAMAHAの試作「ケータイ楽器」(振ってテンポをコントロールできる指揮棒やドラム、ボタンを使ってキーボードやギター演奏ができるソフトなど)は感動もの。
音楽の溢れる豊かな生活を創り出す上で、そのツールを提供することはYAMAHAの至上命題だが、それにしても売れる売れないを度返ししてチャレンジングな創作を先にどんどんやっていくマインドには何だかほっとするところがあった。「大企業も捨てたもんじゃない」好例だろう。

ただ一方で、スタッフが面白いものを創って結果的に「売れた」という形もさることながら、「売れる」アイテムを冷徹な戦略の下に仕掛けることは、YAMAHAのような影響力の強い企業にとってもっと重要なことだと個人的には思う(バランス次第ではクリエイティビティが失われ、本末転倒になるが…)。音楽はもっともっと身近なものであるべきだし、まだまだ人間の生活を豊かにする余地がある。「聴く」方ではipodがかなりのレベルでそれを実現したが、人間には受動的に「聴く」のみならず音楽を主体的に楽しむ能力や創造性がある。社会に大きなインパクトを与えやすいのはやはりどちらかというと大きな企業だ。一部の僕みたいな音楽愛好家が満足するに留まるレベルの商品開発を抜け出て、YAMAHAをはじめ、音に関わる企業が多くの人にキッカケを与えるような道具を生み出してくれることを大いに期待。


家の中でも街を歩いても多くの人が音を楽しんでいる。そういう世界が創られることを願って止まないし、僕自身、音をテーマに人々の幸せを創ることができればなと思っている次第だ。


最後に、個人的なことだが、時間がない人でもサクサク作曲してそれをスコアとして記録できるお手軽なツールはないだろうか…切に願います。
今流通しているものは(全然知らないけど)ユーザビリティが圧倒的に低い上に、価格もかなり高め。普通の人がやる音楽作りって直感的なものだし、それに合わせてインターフェースも直感的じゃないとだめだと思う。左脳使わせすぎ…