Tuesday, October 13, 2009

minimiam の世界観

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"minimiam"というユニット、もしくは"Foodscaping"という言葉をご存知だろうか?
3ヶ月程前にたまたま知ってかなり感動したのでここにて紹介。

Foodscapingというのは直訳で食材風景…というところだが、そのまんまで、食材を使っていろいろな世界観を創る試みのようだ。その中でも僕がたまらなく好きなのがminimiamの作品。日本人写真家の井田晃子さんとフランス人男性のPierre Javelleさんからなるユニットで、本当に心躍るような作品を数多く生み出している。

上の写真もスイカにズームインしてそこに作業員を見るという何とも言えない感性。詳しくはHPにある全作品を見て頂きたいのだが、身の回りにこんなほのぼのしたストーリーが見られるとは…その視点の面白さに感動。いかに僕たちが普段見ている世界が偏った視点からのものかが分かる。ズームイン/アウトしたり角度を変えたり、目線を上げたり下げたり…世界は本当はもっともっと面白い。感覚として大好きなだけではなく、いろいろ考えさせてくれる作品だ。

井田さんが日本人だというのも嬉しい。こういう素敵な活動をされてる方が実は日本でもあちらこちらにいるんだと考えると、その観点でも僕はもっといろいろな視点を持たなければなと思う。井田さんには是非お会いしてみたい。

"モンブラン"登頂

キウイですよ、キウイ。心温まる。

ぜひぜひminimiamのHPを楽しんで下さい!
(僕の友人の貴方は全てチェックして下さい!後日語りましょう。)
enter→Gallery→各Galleryで表示される3つの●のうち、真ん中の●で見進められます。

minimiam HP : http://www.minimiam.com/


Foodscapingとしては、他にこんな世界もあります。

イギリスのアーティストCarl Warnerさんの作品。
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1089160/A-feast-eyes-The-artist-turn-market-stall-masterpiece.html
 

Monday, October 12, 2009

MFA型キャリアの著者の本

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①図で考えるとすべてまとまる <村井瑞枝>

『ハイコンセプト』の流れを受けて…
あまりにも経歴が面白い著者による新刊をついつい買ってしまった。

高卒→辻調理師専門学校(調理免許取得)→米ブラウン大(アート専攻、この間ボローニャ大、RISDに留学)→JPモルガン→BCG→レストラングループの戦略プロデューサー(現在)

まさに、"The MFA Is the New MBA"の実例とも言えるようなキャリア。面白すぎる。コンサルならともかく、金融機関でどんな仕事をしたのだろう。
と、ここまでは本書を読む前の感想にすぎないが、肝心の中身はというと…これがちょっと残念、非常にありきたり。この人ならもっといろいろなことが書けるのではないかと思うのだが、もはや僕でも書けるような感じ。ハッとするようなセンスだったり発想というものがない。次作に期待するしかない。日頃からまったく図を書いたりしない人、PPTのスライドを作るときに表現方法が浮かばなすぎて困っている人などは一読の価値あるものの、イマドキのビジネスパーソンには不要かも。


②毎朝1分で人生は変わる <三宅裕之>

先輩にもらった本。タイトルからは、早起きして何かちょっとしたことを習慣づけてより良くなろう、というような内容かなと思っていたのだが、意外と「朝」であることのウェイトが低かった。普通の自己啓発本という感じで、その中でも「軽い」ものを集めたという印象。ただまぁ、その軽いことを継続できるかというのが一番大事だったりするのでバカにはできない。
以下にいくつか内容メモ。

・毎日の小さな変化により遠心力が働く(p35)


・後回しにしている大事な仕事に毎朝最低5分真剣に取り組む(p37)

→これは確かにいい試み。短時間で簡単にできてしまうようなことはサクサク進む。一方で、緊急度と重要度を2軸としたマトリックスで緊急度低・重要度高に入る仕事で、特に考える時間を要するものは後回しになりがち。無理矢理でもその仕事用の時間を朝にとることで意外に進んでいく可能性がある。意識的に実践しようと思う。


・チャンスが来ればそれは神様からのGoサイン(p70)
・怖いと思ったらそれはGoサイン(p96)

→迷わず飛び込めと。「怖い」という感覚とドキドキ・ワクワクとは同方向のベクトルだと著者は言う。自信なんてなくてもいいからとりあえず飛び込んでしまう。「言うは易し」だが、そういって言い訳をすることなく常に心に留めておくべきか。


・今の状況は自分の意志で選んでいる(p82)

→全く同感。というか同じことをよく言っている。物理的に不可能なこと(今10mジャンプするとか)以外のほとんどことは自分の意志で選んでいる。5秒後の行動も明日会社に行くことも…全て自分の意志で体を動かしている。自分の意志で行っていることにはもっと真剣になっていいと思うし、言い訳をしてもしょうがないということ。最近はこの考えをかなり大事にしている。


・起床報告mail(p114)
・自分の「ルール」を決める(p132)

→ちょっとしたことだけどいいかもしれない。僕もどうしても自分に負けてしまうので…


・何かをやめる=実は何かを生み出している(p195)

→「やめる」ための士気アップに。
 

Monday, October 05, 2009

ハイコンセプトの時代

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ハイコンセプト <ダニエル・ピンク>

何と買って1年以上も本棚に眠っていた本書。積読に至った理由は今となっては謎だが、僕の場合、その原因は往々にして装丁にあったりする。

読んでみて、斬新さはなかった。ただ、僕が常日頃から考えていることと非常にマッチする。かなり有名な本だが、そういう意味で僕はいろいろな人に薦めるだろう。
情報化とナレッジワーカーの時代の次にくるのは、以下6つの感性が重視されるハイコンセプトの時代であるというもの。

1.機能だけでなく「デザイン」
2.議論よりは「物語」
3.個別よりも「全体の調和」
4.論理ではなく「共感」
5.まじめだけではなく「遊び心」
6.モノよりも「生きがい」

どれも納得。今プロフェッショナルの「仕事」になっていることの多くは安い労働力とコンピュータに取って代わられてしまうもので、今後はその2つの波が容易に飲み込むことができないような能力がプロフェッショナルには問われる。
訳者の大前さんのはしがきでは、総中流社会からM型社会へと急速に移っている日本で上に行くための3つの「避ける」が提唱されている。まさに2つの波から逃れるための鉄則だ。

(1)「よその国、特に途上国にできること」は避ける。
(2)「コンピュータやロボットにできること」は避ける。
(3)「反復性のあること」は避ける。

今後は、創造性、イノベーション、プロデューサー、クリエイティブなどのwordが今以上にkeyになってくる。近年の急速なグローバル化とテクノロジーの進歩には目を見張る。僕はかなり前から、"記憶"や"知識"への執着をなくしている。中高生の時などに比べて記憶力が落ちたというのも理由ではあるが、コンピュータの圧倒的な力の前に、人間が人生の多くの時間を使って"input"することの必要性を感じなくなったからだ。ただ、当時はロジカルに考えるということには力点を置いていた。単純知識の記憶という点ではもはや到底コンピュータには勝てないが、その知識を繋げていく過程ではまだ人間が勝るし、何よりも人間の素晴らしい力の一つだと感じていたからだ。ところが、ロジカルに考えるという行為の一部はコンピュータに侵食されつつある。飛躍のない一本筋のロジックに基づき分析をするというのはコンピュータにとってはお手の物で、スピード・正確さの両面でなかなか手強い。何かを分析するという仕事のうち少なからずはそうしたドライなロジカルさに基づくものであり、これが人間の仕事として成り立たなくなるのは目に見えている。ロジカルに物事を考える力は勿論必要だが、もはやそれだけではvalueにならない。

"今"の投資は5年後とか10年後とか、人によって期間はさまざまだが、将来の自分のためのもの。ここで忘れてはならないのが今の前提と将来の前提は違うということ。10年後のためだと言いながらがむしゃらに旧型のナレッジを身につけたとしても、10年後にその価値が下がり、二束三文にしかならなかったとしたら投資は失敗だ。自己投資はあくまで将来の状況を見据え、そこでのなりたい自分をイメージして行うものだと思う。今なんとなく周りよりできていないこと、ビジネス書にあたかも「絶対必要そう」に書かれていること、それをコツコツとできるようにしていくだけではまるで凡人。いつまでたっても一歩先の領域には辿り着かない。


全体的に共感しきりの本書だが、特に印象深かったのは以下の部分だ。

・トースターの話(p146)
普通の人にとって、トースターは一日の1%が「実用性」を発揮する時間で、残りの99%はただあるだけの時間。もはや趣味で部屋に置いておくオブジェと変わらない。自分の嫌いなデザインのオブジェをわざわざ置く人はあまりいない。価格が下がって誰でも簡単に手にいれることができるようになったトースターはもはやデザインが最重要ポイントになりつつある。この考え方は身の回りのあらゆるものに適応できる。

・パオラ・アントネリの言葉(p133)
「優れたデザイン=今までそれがなかったことに世界の誰も気づかなかったような物を無から生み出すもの」
これは非常に本質的だと思う。僕は「なぜ、それがなかったことに誰も気づかないのか?」という質問を突き詰めてみたいと思っている。その向こうにこの先を生きる大きなヒントがあるように思う。

・医師、ハワード・ブロディ博士の言葉(p187)
「人は病気になったとき、自分の身に起こっていることを物語の形で理解するものだ。」そして、その物語を認識できない医師は片方の手を後ろに縛られたまま仕事をしているのと同じだと説く。これにはシビれた。これを聞くだけで名医だなと感じるのは僕だけだろうか。

・「創造性の大部分は伝統領域の境界を超えることにある」(p214)
領域とは関連性によって形作られるもの。ただしかし、関連性は一つと決まっているわけではない。思ってもいない関連性はまだまだ存在する。領域という名の関連性バイアスを取り除くことが新たな関連性の発見に繋がるとも思う。

・これまでのナレッジワーカー(p223)
「概して割り当てられた仕事をこなすだけで、大きな庭の中の自分の持ち場の世話をして一日を過ごすようなもの」
重たい1フレーズ。会社の壁に貼ったらどうだろう。日本のサラリーマンの90%は何かガックリくるのではなかろうか。その一日の積み重ねで人生は出来上がる。幸せの形は人それぞれだが、今の僕では到底幸せな人生とは思えない。

・ダライ・ラマの言葉(p321)
「私は人生の究極の目的は、幸福の追求だと信じています。」
完全に意見は同じ。いつも周囲の人にも言っている通り。僕も追求します。

・ロバート・ファイアストーン博士の言葉(p327)
「あなたは石の下に隠された、誰か他の人が書いた人生の意義を見つけ出すわけじゃない。自分自身の内側から人生に意義を与えることでしか、それを見出すことはできないのだ。」
スティーブ・ジョブズの言葉に似ている。これも同感。

・90歳になった自分(p339)
そこから眺める自分の人生は?
僕はこれに近い視点を毎日確認している。すごく大事だと思う。

・20-10テスト(p340)
「もし自分の口座に20億円以上あり、あと10年も生きれないとしたら、今やってることをやり続けるだろうか?」
この自問に対して何の迷いもなくYesと答えられる人は幸せだろう。なぜかNoの人が多いはず。Noの人がその状況を変えられない理由は何だろうか。これも大事な考え方。


最後に、本書には、これからはMBAよりMFA(Master of Fine Arts : 美術学修士)の時代だと書かれているが、それに関連するものと、ダニエル・ピンクの講演の様子を付け加えておく。

The MFA Is the New MBA
http://blogs.harvardbusiness.org/cs/2008/04/the_mfa_is_the_new_mba.html

HARVARD BUSINESS IDEACAST 版
http://blogs.harvardbusiness.org/ideacast/2008/05/harvard-business-ideacast-92-t.html

ダニエル・ピンク TEDの講演 コメント欄には本人降臨?

 
http://www.ted.com/talks/lang/jpn/dan_pink_on_motivation.html
 

Sunday, October 04, 2009

ざっくり会計の本

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①借金を返すと儲かるのか? <岩谷誠治>

ざっくりと会計のイメージを掴み、仕事でのActionが会計上どういう影響を引き起こすのか考えられるようにすることを目的とした本。
会計ブロックという面白い考え方を用い、簿記的な細かい仕訳作業にアレルギー反応が出ている人でも落ち着いて読める内容になっている。
一見密度が低そうな本にも見えるが、内容は極めて本質的だと思う。
僕は会計嫌いの困ったさんで、会議でも会計処理の細かい話になってくると途端にモチベーションが下がるのだが、それでもやはりあらゆるビジネスパーソンが本当の意味での基本を押さえておかなければならないことは論を俟たない。ゲームをする上でのルールだからしょうがない。ではCPAや簿記1級を取った方がいいかというと、必ずしも、それは必要ないと思う。何でも知識や技術はあるに越したことはないが、人生時間が限られている。会計の専門家になるのでなければ、他にやり方はある。本書のようなアプローチはその一つだと思う。簿記2級持ってても、決算書類を作成するときと見るとき以外頭にないというのではイマイチ。会計というルールを意識してビジネスのActionが取れるようになると俄然違うだろう。
同じようなアプローチでもう少し突っ込んだ部分も理解できるような続編に期待。


②「俯瞰」でわかる決算書 <中村亨>

ざっくり決算書を見るということをテーマにした本。
まず、装丁だが、読みやすい。余白のスペースがたっぷりとられていて疲れない。決算書というと普通は文字・数字がギッシリという印象なので、その点でまず初心者に対して訴求力がある。
デザインの話は置いておいて、内容はかなり基本的ながらも頭の使い方を復習するにはいい。細かいルールを覚えれば覚えるほど固くなっていく頭と視線をズームアウトさせて決算書の要所を押さえ、そこから何を読み取れるのかを解説。実例をそこそこ多く出しているのもいい。
どうでもいいが、表紙で著者の上着の着丈袖丈が長い気がする。