Monday, July 27, 2009

トム・ピーターズというカンフル剤

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①ブランド人になれ!(トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦1)
 <トム・ピーターズ>


さすがトム・ピーターズ!という感じ。名著。
以前から好きだったが、これから氏の数ある著書の8割程度を読んでいくことに決めた。
これだけエネルギッシュな本もなかなかない。超コンサバな上司には、1万円払ってもいいから本書を2度ほど読んでもらいたい。上司がこんなマインドだったらきつそうだけど面白いだろうな、毎日。

気合の入るフレーズだらけではあるが、ほんの一部を以下にメモ。

QUOTE

・ただ生き延びるだけでなく、"生きた"というしびれるほどの充足感を味わってもらうために…。(p23)
・死は生きることをやめる多くの方法の一つにすぎない。(p159)

⇒一回きりの人生、死んでるように生きないために、絶えず自分は何で生きてるのか、どう生きたいのか、問い続けたい。

・事前に許可を求めるより、あとで叱られる方がいい。(p18)
・許可を求めるのは、「だめだ」と言ってくれと頼むのと同じ。(p96)

⇒この志でいくと、かなり怒られる。が、
「(ある上司に)or(ある組織で)怒られること」=「悪いこと」ではない。
結果で魅せましょう。

・昨日という一日、名医は何人かの命を救い、立派な牧師は何人かの魂を救った。あなたの昨日は、どんな一日だったか。(p68)

⇒名フレーズ。こういうことを当たり前のように自分に対して言えること。そして人前でも大真面目に言えること。非常に大事。

・世の中は大忙しで、そのうえ大混雑している。だから、的をしぼらないといけない。(p45)
・エクセレンスへの道は、いますぐ、エクセレントではないことをすべてやめることだ。(p105)

⇒自分とはどういうブランドなのか?どんな「商品」として売るのか?
早く飛び抜けたいのなら、コアは意識して創るもの。発散フェーズからどのタイミングで収束フェーズに移るか。そろそろ頃合ではなかろうか。

・世界中で競合製品はますます似通ってくる。消費者がどの会社の製品を選ぶかを判断する際、会社のパーソナリティー、会社のアイデンティティーが最大の判断材料になる。(p165)

⇒不可避。目には見えない価値に価格がつけられていく時代に。

・お偉いさんをもって、お偉いさんを制す。(p211)
・権力闘争にひるまない強靭な精神が必要。(p230)
・権力は、さわるのも穢らわしいものではない。歴史を変えた人はすべて、たとえ気が進まなくても、それをしっかりと手中におさめている。(p230)

⇒政治、権力闘争は苦手分野だが、自分の美徳観云々では片付かない問題。事を成すためにはある種の割り切りが必要。信念が必要。

UNQUOTE

本書はバイブルの一つとして、いつでも開いて渇を入れられるようにしようと思う。リポビタンDよりいいカンフル剤。会社生活が悪い意味で「穏やか」な人は一読することを強く勧めます。


②なぜ、ベンチャーは失敗しやすいのか? <真田哲弥×TNK>

題名が月並みな「成功する方法」ではなくて「失敗しやすいのか」であることに興味を引かれ、購入。
東大の起業サークルTNKが短期間で書いたいくつかの事業計画書をサイバード創業者の真田氏が添削するという形式。事業計画書自体は学生のものだな…という感じはあるものの、大学1,2年の段階で短期間で作成したものとしてはなかなか。大学は授業でもビジネスプラン作成とかもっとやらせた方がいいんじゃないだろうか。本業である「アカデミックな」勉強の邪魔にはならないと思う。
内容としては、いくつか学びがあるものの、素材となる事業計画書のレベルが微妙…であるために、「失敗しやすい」部分が決して網羅的には見えてこない。「起業」のイメージ作りと、ヒント取得という点では読む価値があるかもしれない。悪い本ではないのだが。一風変わった企画本。

そういえば、p209に真田氏のコメントとして、
『確かに「何をやるか」より「誰とやるか」が重要だが、「誰が集まるか」は「何をやるか」「何を目指すか」によって左右される。』
とあるが、先日お会いした某社CEOも似たようなことを言っていた。結局は、自分がどういうvisionで何をやっているかで、集まってくる仲間や付き合うお客さんも決まってくる。「何をやるか」と「誰とやるか」のどっちが大事?という議論はあまり本質的でないのかもしれない。学生の時はよく悩んだものだが。
 

Friday, July 24, 2009

お手軽ファイナンス本

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①金融工学とリスクマネジメント <吉藤茂>

市場リスクマネジメントの実務に使える理論を、銀行で実際に(実験的に)行われている手法を含め解説した本。 著者が「純粋」な学者ではなく、ディーリングやRM現場の当事者である点がいい。

内容は
(1)マーケットやリスク管理の基礎的な話
(2)VaRを中心としたリスク管理手法の具体的解説
(3)研究的内容
の3つに大分できるが、バランスが良くコンパクトな一冊になっている。
ただ、(1)に属する内容でひっかかる部分がある人は他に読むべき本が数多くあると思うので、本書は薦められない。

一つのトピックを丁寧に掘り下げるというような類の本ではないので、手法の解説がさらっとしすぎていて(式や前提をはしょりすぎ)よくわからないというような部分がいくつもあったが、全体としてリスク管理を考える上でのヒントはいろいろあったなという感想。加えて、銀行、やっぱり結構がんばってるな、という感じ。

本書のメインからは少しはずれるが、最後の章で紹介されていた行動ファイナンスの部分が個人的には面白かった。 以下内容をいくつかピックアップすると、

1.価値関数とかウエイト関数とか

・価値関数とは「望ましさの心理学的評価値」であり、次の3つのことを前提としている。
-人は変化には敏感だが、絶対的な価値については比較的鈍感
-儲かりそうなときはリスク回避的、損しそうなときはリスク愛好的
-損失は儲けよりもずっと重大に思える

・ウエイト関数とは「意思決定に関する望ましさの心理学的評価値」
-非常に低い確率は過大評価され、中~高確率は過小評価される

ex)どちらのクジを選ぶ?
A:確率0.45で100万円当たり vs 確率0.9で50万円当たり
→多くの人は後者を選ぶ(期待値は45万円で同じ)
B:確率0.001で100万円当たり vs 確率0.002で50万円当たり
→多くの人は前者を選ぶ(期待値は1,000円で同じ)

これはすごい。たしかに。人はチャンスの低いクジに高値を付けすぎる傾向あり。
身近な例をいろいろ想像するとかなり当てはまる。


2.ランダム系列の誤認知

・コイン投げで表が続くと、そとそと裏が出るはずだと考えがちなこと
・偶然の産物にトレンドをみてしまう錯覚


3.固着性(アンカリング)

・確率評価が特定の値に引きずられる傾向

ex)質問の仕方によって評価値に大きな差
「この壺はいくらだと思うか?」
という質問だけの場合と、
「この壺は10万円以上か?以下か?」と聞いてから
「この壺はいくらだと思うか?」
と質問するのとでは評価値に差が出る。
壺の値段がいくらにせよ、後者の聞き方では最終的な回答の分布が10万円に引きずられる。
このケースはよくある。かなり意識していないとやられる。
冷静に分析されると非常に勉強になる。

その他いくつも面白い性質や研究結果が載っていた。
またふとしたときに読み返してみよう。


②コーポレート・ファイナンス入門 <砂川伸幸>

「入門」という名にふさわしい、レベルも分量もちょうど良い一冊。
それでいて、満遍なくコーポレートファイナンスのトピックに触れている。リアルオプションについての話も多少だが入っているのも好感。

簡素な文庫本にしては驚異的な「わかりやすさ」だろう。アマゾンのレビュアーの評価が高いのにも納得。
ファイナンスに関しては、ハードカバーで分厚い「基本書」をじっくり読んでいくのもいいのだろうけど、「入門書」をいくつか読んでみるというのは、それはそれで有益だと思う。著者によって同じ理論を説明するための角度が若干違っていて、新たな気づきがあることも。
 

Sunday, July 19, 2009

myspaceCDについて考える

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今週のニュースからいくつか。

▼音楽発信をもっとfreeに。myspaceCDサービス開始。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20396561,00.htm
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/20090713/37471.html
記事のポイントは以下の通り。
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・マイスペースとポニーキャニオンは7月13日、業務提携し、「MySpace」にてCD音源の販売サービス「myspaceCD」の提供を開始。
・MySpaceに登録するアーティスト(現在12万組)の音源をダウンロードし、ユーザーのPCにてCD-Rに書き込むことができるサービス。
・販売価格はアーティストが300~1万円のあいだで自由に選択可。
・将来的にはポニーキャニオン本体でのメジャーデビューまでを検討。

販売にかかる費用:
初期登録費用・月額固定費用:0円
販売手数料:販売価格の50%
サービス基本使用料:販売価格の25%(ただし101枚以降は無料)
⇒アーティストは金銭の負担なしでCDを販売できる。

・ポニーキャニオン事業開発本部本部長小林聡氏
「MySapceの2億ユーザーというフィルターを通して才能を発掘」

・マイスペース代表取締役社長大蘿淳司氏
3つのポイント
(1)CDのパッケージとしての力を再発見する
(2)MySpaceをアーティスト側からの「プロモーション」の場だけでなく、支援を行うことで次世代アーティストの積極的な発掘を行う
(3)日本のアーティストの世界展開を支援する

両社ではサービス開始1年で2,000人の利用(デビュー)と1億円のCD販売売上を目指す。
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審査はあるものの、利用者は金銭的には無リスクでCD販売ができるのだから非常に魅力的なサービスに見える。個人的にも面白いと思うし、参加してみたいなとも思う。

ただ、こうしたサービスの出現は下手をすると文化の破壊にも繋がりかねない諸刃性を持っていると思う。
「両社ではサービス開始1年で2,000人の利用(デビュー)と1億円のCD販売売上を目指す。」ということは、1人あたりの売上は50,000円/年。アーティストに還元されるのはその25%の12,500円。ローンチ1年目とはいえ、これでは「仕事」にはならない。もちろん、このMyspaceCDは「まず知ってもらうため」、「メジャーへの登竜門」としての位置づけになり、その場を利用して生計を立てるという趣旨ではないのだろうが、2億ユーザーというフィルターを通して選ばれた2,000人への待遇としてはちょっと物足りない。
プロスポーツ選手や芸能人、プロミュージシャンなどの世界は確かに選ばれし人たちの世界で、非常に厳しいもの。しかしそのプロの中で本当に「食べていける」人が少なくなったらどうだろう。文化的には難しい問題だと思う。
インターネットのような「個をエンパワーするインフラ」が創り出すチャンスというのは大きい。ただしかし、参入障壁を強制的に下げてしまうという側面には問題がないわけではない。今回のような「文化」の話では特にそうだと思う。プレーヤーが多くなり自由競争が高まることによって、一時的には、全体として出るアウトプットのレベルは高まるだろう。ただ、本来的には個の生活、創作環境あってのアウトプットなのだから、どこかで波は必ずブレイクポイントを迎えると思う。ルネサンスの時代からそうだが、パトロンあっての芸術・文化振興という面がある。

本件とは直接の関係はないが、坂本龍一は「音楽の価値」についてシンプルながら興味深い洞察をしている。
どこで読んだかは忘れてしまったのだが、僕もおぼろげながらに感じていた問題意識と合致し、妙に納得したのを覚えている。要旨は以下の通り(自分のメモファイルに残っていたものを転載。何かのインタビューだった気がする)。

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例えば、ベートーヴェンの第九っていうのは、72分かかるでしょ。で、昔は、アナログ版は2枚か3枚するのよ。そうすると、もし2枚なら、第九の値段は4,800円(アナログ版)だったのよ。それが、CDが出てくると、第九の値段は3,000円になるのよ。同じ第九が、4,800円から3,000円になっちゃうのよ。で、ネットで誰かがリップしちゃえば…、タダになっちゃう。だから、メディアの容量が上がってくれば、音楽自体はどんどん安くなっちゃう(笑)

で、これは音楽の値段じゃなくて、そのモノとそのモノを作るコストを算出した値段なんだよ。
だから、本当の音楽の値段なんてのは、わからないんだよ。わかる?フルオーケストラで72分の第九がいくらか、って?

僕もわかんないけど。でも、CDが3,000円のときは、それは音楽の値段だと思って買ってたでしょ。僕もそうだったよ。でも、今にしてみれば、あれは音楽の値段じゃなったんじゃないかって思うのよ。で、コンテンツのバリューっていうのは、長いスパンで見ると、どんどんどんどんゼロに近づいていくわけよ。
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加えて氏は、自著の中でも、「もう音楽では食べていけないな」と言っている。あの坂本龍一にそう言わせしめる時代の潮流に僕は危機意識を感じている。
参入障壁の突然の無力化、そしてコンテンツの本当の価値がはっきりしていない状況の継続。じわりじわりと進む利便性の向上と文化を生み出す場の保全をどうバランスさせるのか、一歩引いた目線で考えていく必要がありそうだ。


▼世界金融危機で富裕層減。資産減。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20090715-OYT8T00638.htm
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・世界で100万ドル以上の資産を持つ富裕層が2008年末は前年末比14.9%減の860万人となった(メリルリンチの調査)。
・国別では、米国が18.5%減の246万人で最多、2位は日本の136万人ながら、前年の151万人から9.9%減。中国は11.8%減の36万人だったが、26.3%の大幅減だった英国を抜き、ドイツに続く4位に浮上。
・富裕層が持つ資産残高も19.5%減の32兆8,000億ドル(約3,050兆円)と大幅に縮小。
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この記事の数字からだと、富裕層の定義に属する人々の平均資産額は3~4億円。日本の終身雇用型サラリーマンのうち最高クラスの数社の生涯賃金が4.5~6億円、また、人は平均して死ぬまでに2~3億円使うなどという話を勘案すると、所謂サラリーマンだとなかなか富裕層にはなれないようだ。日本人の136万人の内訳に興味あり。
そういえば、金融危機を受けての日本人の「やられ」度が他国に比して小さいことも興味深い。単にドル換算時の「円高」影響か、それともやはり現金持ちが多いために影響が少なかったのか。


▼藻でトウモロコシ超え?エタノール生産
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090715AT2M1501Q15072009.html
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・エクソンモービルは、クレイグ・ベンター博士らが設立した米シンセティック・ジェノミクスと共同で、藻を使ったバイオ燃料の量産化技術を開発する。
・6億ドルを投じて実験用の温室を作り、光合成で繁殖する藻から燃料を量産する技術を開発する。
・ダウ・ケミカルも藻からエタノールを生産する実験を開始。トウモロコシなど食料を使わない代替燃料の開発が活発になってきた。トウモロコシから作る現在のエタノールより効率良く生産するのが目標で、今後5~10年内の実用化を目指す。
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藻の利用。それにしてもクレイグ・ベンターは遺伝子解読したり、人工生命?合成したり凄い。そのハングリーさ、日本人も見習った方がいい。藻で6億ドル呼び込むとは。
エタノールは間違いなくポスト石油なのだろうか。いまいちエネルギー周りの真実がわからない。
 

Sunday, July 12, 2009

起業?仕事?

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①起業家2.0 <佐々木俊尚>

2007年12月発刊。1年半ぐらい前ということか。
当時と今の経済環境の差は歴然。本書で紹介されている9つのベンチャー企業とその社長たち、果たしてこの荒波をどう乗り越えていくのだろうか。
所謂ナナロク世代を中心に、エニグモ、mixi、アブラハム・グループ・ホールディングス、ゼロスタートコミュニケーションズ、チームラボ、ルーク19、paperboy&co.、フォートラベル、はてなの計9社の誕生までのストーリーが熱く纏められている。

著者はジャーナリストの佐々木氏だが、非常にかっこよく書かれたストーリーだなと思う。プロジェクトXのダイジェスト版という感じ。ビジネスを軌道に乗せるまでの泥臭い部分を読んでも、多くの読者が「やってやるぞ」と思えてしまうような語り口。しかし、実際には、たった1年半で経営陣が変わってたり…いろいろある。良くも悪くもベンチャー企業のスピード感。恐ろしくも思う。
最近ベンチャーに対する考え方が少し変わった気がする。以前はベンチャーというのは大企業とは比較ができないある種の組織カテゴリーに属するものだと思っていた。自由で何でもアリで、学生でもできるっていう。このイメージが最近になって、ベンチャーも一「企業」だと感じるようになった。守るべきものが多くなったためなのか、強固なシステムを見すぎてしまったのか、理由は分からないが。会社を作るだけなら簡単、書類を出せばいい。ただ、雇用を生み出し、世の中に価値を生み出し、そしてそれを継続して、結果社員や社員の家族が生活できる…そういう企業を創り、維持することの難しさ。痛烈に感じる。30年会社を存続させるというのは並大抵のことではない。歴史ある企業に対しても、今まさに起業という格闘をしている経営者に対しても尊敬の念を忘れてはならない。断片だけを見てしょぼいビジネス…そんなことは軽々しく言ってはならないと思う。もう少し「企業」について基本に立ち返って理解しなくてはとも思う。

本書はまだ古くはないし、読み物として面白い1冊。幸い、9社とも名前も変わらずに、存続している。
 

②働く理由 <戸田智弘>

先輩にもらった本。
表紙が子供っぽくてちょっと抵抗があったのだが、意外にいい刺激、ヒントをもらった気がする。会社という組織に入った若手ビジネスパーソンにはピッタリの本かもしれない。この手の本は占い本に似ていて、誰もが「自分に当てはまる!」と思えるようなフレーズが散りばめられている。目の前の仕事に迷いが出たときに一読、オススメします。何かは得られるのではないだろうか。

いくつかフレーズをピックアップ。

-Quote-

苦労したくないなら、結局それほど「好きではない」のである。<養老孟司>(p23)

生きるとは選択することだ。選択しないことは、実は自分の人生を生きていないということ。<著者>(p67)

決心する前に完全な見通しをつけようとする者は決心することができない。<H・F・アミエル>(p77)

私は、やりたくないことは絶対にできない性分だったのです。それを自覚するようになり、やりたくないことを長い時間をかけてひたすら排除してゆき、そうして残ったたったひとつのもの、それが本当の「やりたいこと」でした。<中島義道>(p80)

変えられることは変える努力をしましょう。変えられないことはそのまま受け入れましょう。起きてしまったことを嘆くよりも、これからできることを皆で一緒に考えましょう。<加藤諦三>(p89)

下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ。<小林一三>(p122)

仕事は探してやるものだ。自分が創り出すものだ。与えられた仕事だけをやるのは雑兵だ。<織田信長>(p124)

「お前には無理だよ」と言う人のことを聞いてはいけない。<マジック・ジョンソン>(p144)

習慣は、その人格、品格まで変えてしまう。<シェークスピア>(p228)

-Unquote-

本書を読んでいて、ふと思いついた。
p171のドナルド・E・スーパーの『仕事の重要性研究』で示された14の労働価値についてだ。何を優先させて、何をあきらめるかについて考える際に参考になるかと。

(1)まず、14の労働価値の各項目がどれだけ大事だと思うか、10点満点で点数をつける。(絶対評価)

14の労働価値とは…(各項目について詳しくは本書、または原著をどうぞ)
①能力の活用
②達成
③美的追求
④愛他性
⑤自律性
⑥創造性
⑦経済的報酬
⑧ライフスタイル
⑨身体的活動
⑩社会的評価
⑪冒険性、危険性
⑫社会的交流性
⑬多様性
⑭環境

(2)次に、14項目について優先順位をつけてみる。1位項目は10点、以下1点ずつ減少し、10位以下は1点。(相対評価)

(3)絶対評価と相対評価のグラフを重ねてみて、その差が是正すべき点。相対評価に比べ絶対評価が高すぎる項目は「あきらめる」類の労働価値ということ。あきらめるまでいかなくても、相対評価が高い項目を実現するまでは忘れておくぐらい優先度にメリハリをつけてもいいかもしれない。

ポイントは(2)、(3)の作業をすることを知らない状態で、まず何も考えずに(1)をやってみること。多くの人は絶対評価による点数の方が相対評価による点数より高いという項目が相当数あるだろう。「よくばりすぎ」状態であることを認め、まず自分が何を狙っていくべきか考えるきっかけとなるだろう。