Thursday, December 11, 2008

脳内情報、外に出る。

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昼休みに会社でニュースをチェックしていたら、二日酔いの頭痛を吹き飛ばす、とまではいかないものの、かなり興味深い発表があったので、備忘のためエントリー。
上に載せたのは12月11日付のNeuron誌の表紙。
この表紙になった研究成果こそが世界初の超ホットなトピックで、被験者が目で見ている映像をその人の脳活動のパターンからコンピュータ認識するというとんでもない技術。 脳から直接情報を出力するためのBMI(ブレイン-マシン・インターフェース)に利用できる可能性は高そう。 正直、仕組みはかなり浅くしかわからないが、できることをもっとできるようにするのではなく、できないことをできるようにした功績は大きい。しかも未知なる脳の領域で。昔NHKが「驚異の小宇宙・人体」という番組をやっていたが、人体の中でも特に脳の機能は驚異的かつ神秘的。その仕組みも少しずつだが分かってきていて、いつかは壁を破るんだろうなとは思っていたのだが、出力された画像のレベルの高さにびっくりした。現段階では実際に見ている画像の再構成しかできないらしいが、同じ手法を用いて、完全に脳内で作り出されたイメージを画像として取り出せる可能性もあるという。

ちなみに、これを成し遂げたのは日本のチームで、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)脳情報研究所・神経情報学研究室の神谷之康室長らのグループ。(他にも共同研究者あり)
日本も最近やるなぁ。

<御参考>
Neuron:
http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6WSS-4V4113M-P&_user=10&_rdoc=1&_fmt=&_orig=search&_sort=d&view=c&_acct=C000050221&_version=1&_urlVersion=0&_userid=10&md5=a643f4c74084461af0646cbda3e7d983
ATR プレスリリース:
http://www.atr.jp/html/topics/press_081211_j.html  


上段の画像を見ている被験者の脳を介して下段の様な画像が読み取れる。今は白黒だが、同様な手法を用いて「色」の情報も再構成できるかもしれない。何となく人に伝えづらいイメージを「こんな感じ」とか言いながらスクリーンに写せる日がくるのかもしれない。面白い。


と、ここまでは新しい発見・成果に乾杯という流れだったが、実はかなり怖い。
僕の中では脳は遺伝子とともに「侵してはならない神の領域」2トップだからだ。あんまりわかってしまいすぎるのもどうかと思うわけです。確かにこの脳とコンピュータ間のインターフェースが発展したら体の不自由な人にとってはすごく頼りになるし、現状特に不自由ではない人でも新たな芸術が生まれたり、生産性が上がったりといったメリットは多そう。遺伝子だって同じ。研究を進めて医療にどんどん応用できれば、ピンポイントで誰かの助けにはきっとなる。ただ、人類トータルで考えたときに、これらの研究が進んだ50年後の未来が今より幸福な世界になっているとは限らないし、逆に僕の感覚は「恐ろしそう」だ。ある人間が他の人間をコントロールしうる可能性が高まれば高まるほど世の中って危ないと思うのは僕だけだろうか。 人間はあまり個の力を持つべきではないというのは最近の持論です。他の生物種でも同じで、100万匹の中の1匹1匹それぞれが残り99.9999万匹をどうにかする力を持っている場合、その種とか集団って脆弱すぎる。1匹のとち狂った個体が発生するだけで絶滅しうるからね。我々人類も実は既にけっこう危険な状態にあるな。

外部と繋ぐことで脳をハッキングされたりしたら嫌だな…
もちろん遺伝子に変なミューテーション入れられるのも嫌だし。
 

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