Monday, January 18, 2010

ポケットに名言を

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読書メモも再開します。
最近積読癖が以前にも増してひどい。

①ポケットに名言を <寺山修司>

最高に粋な遊びにして、最高に粋な本。
こういう遊びをしようと思っていただけに、著者の考えが自分のそれに近いことに驚いた。
本書は「ことば」のスクラップブックだ。ことばそのものの力というか味を感じることができる。あとがきで著者は以下のように述べている。

“思想家の軌跡などを一切無視して、一句だけとり出して、ガムでも噛むように「名言」を噛みしめる。その反復の中で、意味は無化され、理性支配の社会と死との呪縛から解放されるような一時的な陶酔を味わう。”

“「名言」はだれかの書いた台詞であるが、すぐれた俳優は自分のことばを探し出すための出会いが、ドラマツルギーというものだということを知っているのである。”

これほど多様なソースから、サラダボールのようにことばを混ぜ込んだ名言集も他にあるまい。
ただ、その価値はよくわかる。昨年末から友人と話しているのだが、これに似たようなこと、はじめます。

最後に、寺山さん的「名言」の定義を引用しておきます。

1.呪文呪語の類
2.複製されたことば、すなわち引用可能な他人の経験
3.行為の句読点として用いられるもの
4.無意識世界への配達人
5.価値および理性の相対化を保証する証文
6.スケープゴートとしての言語

実におもしろい。


②ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている <松井政就>

ギャンブルで強い人というのはビジネスでも強い。これはある程度言えることだ、というのが僕の感覚としてある。ギャンブルでは、隠すことができないその人固有の強さと弱さが出る。その人のベースになっているものを最も簡単に知る機会でもあると思う。ギャンブルの強い弱いは人間の性質のうち非常にシンプルな部分で決まってくるが、それはギャンブルだけでなく、ビジネス、人間関係、いろいろなところに影響する。

本書を読んだところで、ギャンブルは強くならないし、ビジネスも上手くはならないだろう。ただ、ギャンブルもビジネスも意外とシンプルなところで差が生まれているのだということに気づく。ノーバイアスで読むならば面白い本だと思う。

p67~のソニーの話、「不良社員」の話は確かになるほどなと改めて思った。自分の経験からもそうだが、働きアリばかりでは何も生み出せないことが多い。「はみ出ている」ことや組織の多様性というのは非常に重要。それが"体感"として分かるようになると職場もだいぶ楽しくなる。

“見かけ上、遊んでいるように見える社員が不良社員かと言えば、全然そんなことはない。むしろ一日中デスクにかじりついて熱心にキーボードを叩いている人が、実は無駄な資料ばかり作っていたりするものだ。”

あとは、“一勝九敗”。この発想を持てるかどうかがポイントだなと再確認できる一冊でした。


最後に、本書にはコンパクトながら非常にいい名言があったので引用しておく。

“確実なことばかりを積み上げようとすればするほど、人間は負けるようになっている。生きていく上では、たとえ不確実と思われるものにでも賭けなければならない時がある。”

このことば(特に前半)は実に切れ味がいい。
 

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