Monday, September 01, 2008

"プロ"コンサルタント?の本

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①プロフェッショナル原論 <波頭亮>

コンサルタントが読むといいかもしれないが、そうでない人はあまりピンとこないであろう本。そして、逆にプロフェッショナルという言葉が鼻につく。
筆者はおそらくプロであり、ざっくりとした言葉で言えば、意識が高い。
近年着々と肥大化しつつあるコンサルティングファームでのコンサルタントたちの意識低下、そしてファームの経営方針の変化、そうした流れに警鐘を鳴らしているのが本書なのだろう。その内容は非常に高い理想であり、コンサルタントたちを鼓舞しうる内容かもしれない。

ただし僕の感想としては、いい言い方をすれば、筆者は自分の仕事に誇りを持ち、愛している。悪い言い方をすれば、コンサルティング業界に浸かりすぎで自己満足。
経営コンサルティングはいつの時代も存在意義を問われることの多い業種だ。本当に必要なのか?高いフィーに対してペイするものなのか?虚業ではないか?…そんな意見は後を絶たない。これについては僕の立場からは何とも言い難く、真に value を出しているコンサルタントやファームもあればそうでないものもあるとしか言えない。実際一歩間違えれば大きな流れによって消されかねない業種だとも思う。本書には、コンサルティングの仕事に異常なまでの誇りを持っているからこそ、業界が受ける風に対して同士を鼓舞して立ち向かおうとする筆者の姿勢が見える。

ところが、本書を読んで、自己満足、論理のねじまげのように思えてしまうのは、コンサルティングという特殊な仕事をベースにしすぎた構成と、プロフェッショナルという言葉の強引な定義が原因ではないかと思う。
本書内では、代表的なプロフェッショナルとして、コンサルタントの他に、医者、弁護士、会計士、建築家などが幾度となく挙げられている。大まかに言うとクライアントの問題を解決する職種という定義のもと、これらをひとくくりにし、具体例を挙げつつコンサルタントがあたかも医者や弁護士と同じようなプロフェッショナルだとしているが、多くの人は本書を読んでかなりひっかかるところがあるのではないだろうか。
僕の場合、そのひっかかりは、以下の部分に注目することで解けた。

『もしプロフェッショナル達がこの的確さと公正さを放棄してしまい、クライアントや自分自身の金儲け追求のために都合主義的な判断や処理をするようになってしまったとしたら公益なぞ一挙に消失してしまう。耐震強度不足のビルが乱立し、不公正な財務諸表ばかりが公表されるようになってしまったら、社会の大混乱と崩壊は自明である。』(p183)

プロフェッショナル達の意識低下が社会の崩壊をもたらすと警鐘を鳴らしているが、よく考えると、コンサルタントの意識低下によっては別に社会崩壊は起きない。ただどこの企業も政府もコンサルタントを雇わなくなるだけだ。ところが、医者がいなければ世の中大混乱になるし、法律が支配する世の中で弁護士がいなければ大変なことになる。建築設計する人が誰もいなければ都市も建造物も大変なことになる。
つまり、現代社会でそれぞれの職業の存在が「必須であるかどうか」を考えたとき、医者や弁護士、会計士、建築家は多くの人が必須であると思うのに対し、コンサルタントは別に必須ではない、いなくとも社会はまわると感じることがひっかかりの原因ではないかと思うのだ。

本書に書いてあることは的を射ていることも多いし、非常に美しい仕事像も描かれている。
コンサルティングという業種自体も、上述のようにしっかり value が出せていれば意味があるし、ありがたがられる仕事でもある。
だからこそ、もっとニュートラルな視点でもって、正しいことを提唱するような「プロコンサルタント原論」であって欲しかった。


②たった3秒のパソコン術 <中山真敬>

銀色の表紙+コンパクトさ+お手軽な分量
ということで、あまり中身も見ずに買ってしまった本書。普段からかなりショートカットの類は使うので(特にexcel)、おさらい及び確認をするイメージだった。
概ね知っている内容であまり意味が無かった(これ知らないでどうやってPC仕事しているんだ?的なものも非常に多い)のだが、いくつか「知らない」かつ「使える」ものがあったので、まぁよしとします。¥600だし。
マイクロソフトのHPを見れば、そうでなくとも、ネットでいろいろなショートカット集はあるが、「本」という形式はまだまだ価値ある形式でスピーディーに情報を吸収できる。普段コピペやオルトタブ、Ctrl+Fなどの超基本ショートカットしか使ってない人には費用対効果の高い1冊ではないでしょうか。
 

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