Wednesday, August 27, 2008

花火

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暑さも和らぎ、今年の夏も終わろうとしている。
夏といえばやっぱり…というような言い方もしたくはないのだが、夏の風物詩は花火だ。
今夏も1回だが花火を見た。
僕は花火は芸術だと思っている。芸術作品には"仕事"という表現がよく使われるが、花火は英語で fireworks 。そもそも花火の起源が日本なのか外国なのかは知らないが言い得て妙な単語だと思う。
しかしもっと素晴らしいと思うのは日本語の"花火"という単語。非常にシンプルなのだが僕のイメージにはしっくりくる。
花火のいいところはどこだろうと考えたとき、当然視覚的美しさや音の清々しさが素晴らしいのだろうが、僕は、花火師の心意気と花火の儚さに芸術を覚えている。
僕は芸術を鑑賞するとき、作品そのものの独立した美しさ・性質に感銘を受けるだけでなく、作品を通して作者のマインドに触れることができた場合、さらなる芸術感というか得体の知れない感覚を覚える。
だから、作者がどのような思いでその作品を完成させたのか、またどのような感情をもってそのような表現をしているか知っているケース(例えば、人生を共に歩んできた人の作った音楽を聴く場合)では特に感じ取れるものが違う。プロや著名なアーティストの作品でなくとも、僕にとってだけの至高の芸術というものは確かに存在しうる。
これに近いのだが、直接知らない人の作品でもその人の感情が強く伝わってきた場合には、視覚、聴覚でのみとらえる芸術とは違うものとなる。つまり、作品を通して、作者と対話しているようなイメージだ。
花火の場合、なぜだか特にそのような感情が起こりやすい。わずか数秒で夜空に咲いた花が次の瞬間には消えていく…そんな儚い花に思いを込める花火師たちの心意気が伝わってきたとき、花火は他の何物にもかえることのできない芸術だと感じるのだ。

夏の少し涼しい夜と、浴衣にうちわ…日本の花火は"花火"のままで、そうした今と同じ要素に囲まれてこれからも夏の夜に儚く咲き続けてほしいものだ。

ちなみに今年行った花火は去年も行った多摩川花火大会。田園都市線をまたいで、2サイドで同時に行われる花火大会だが、個人的には世田谷区主催のものより、川崎市側のもののほうが好きだ。
音楽と花火をコラボさせた企画は挑戦的だがかなり面白い。特に去年の威風堂々は秀逸だった。

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