Sunday, February 28, 2010

フレームワークIndex

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①知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100 <永田豊志>

ものすごく表面的な内容だが、Indexとしては利用価値があるかもしれない。
個々のフレームワークについては、1つにつき最低でも1冊の本を読み、実際に使ってみなければ何も習得できない。つまり、本書だけを読んでもまったく意味がない。
フレームワークというのは一見便利に思えるが、逆に頭がその枠組みを超えられなくなるという危険性を孕んでいる。現象をフレームワークに当てはめて考え始めた時点で思考停止に陥っていることはよくある。フレームワークにあてはめることは、あくまでも問題の分析や仮説検証のプロセスにかかる時間を短縮化する方法にすぎず、思考の本質ではないと思う。そして、フレームワークに事象をおさめて、何かが生み出されるというよりは、思考の結果、フレームワークが生み出されるようなイメージであるように思う。

本書にIndexとしての利用価値があるというのは、何かに「つまった感」が生じたときに、視点を変えるのに役立つという意味でのことだ。パラパラとめくるには丁度良いレイアウト(必ず見開きで1つの項目)になっているので、考えにつまったときには本書をめくってみる。3回ぐらいパラパラして何か新たな切り口が見つかったら儲けもの。なければまた引き出しへ。但し、これをやるには、個々の内容が分かっていないといけない。そしてこの「分かる」ためにやることは本書を読むことではない。

ちなみに新しい情報として唯一面白かったのは「ハインリッヒの法則」。
「1件の重大災害が発生する背景に、29件の軽傷事故と300件のヒヤリ・ハットがある」というもの。法則の名前はどうでもいいのだが、要は、目に見えてくるfactの背景にあるものにまで想像力を膨らませなさいよということ。


②ロジカルシンキング・リーディング <大石哲之>

なぜ手にとってしまったのか…
こちらは真に内容の薄い本。エッセンスは、「(ビジネスでの)読書は1点集中で」これに尽きる。
新たな分野に挑戦するときは、同じような本を5~10冊ガッと読む、という1点集中が一つ。もう一つは、1冊の本の中で緩急をつけて読むという1点集中。文章を読んで情報をinputするだけではなく、自分の頭を使って考えること。別に100ページの本を均等に読む必要はない。99ページを10分で読んで、大事な論点のある1ページを2時間考えて読んでもいい。
以上が本書の99%の内容。
 

Thursday, February 18, 2010

為替関係書籍

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①為替のしくみが基礎からわかる本 <青柳孝直>

非常にコンパクトな本。あらゆる無駄をそぎ落として基本部分を解説している感じ。文字数もかなり少ない。FX本の類を除いて、為替に関してこれほどコンパクトに書いた本もあまりないのでは?
解説はなかなかわかりやすいと思う。為替のディーリングに興味がある方も、そもそも為替とは?というところに興味ある方も、短時間で読めるので一読してみてはいかが。


②相場としての外国為替 <林康史>

古い本だが有名らしい。何と言っても初版は1993年。マルクとかが普通に出てくる。ただ、根本部分の解説は詳しく、やはり為替関係の名著の一つである気がする。

思うに、世の中でまだメジャーでない世界について、しかも機械化・オートメーション化が進んでいない分野について解説された本は後世に残る名著となることが多い。本当に一から原理に関して説明する必要があるからだ。ところが、なまじ分かりやすく噛み砕かれた情報が氾濫する時代においては、本当の原理部分について書いた本が、その他多くの本の中に埋もれてしまうことがある。為替に関しても、FX取引や外貨預金をしたことがある人は多いはずなのだが、そのうちのどれぐらいの人が本書に書かれているような基本的な部分について理解しているかと言えば"?"だ。
本書の内容には確かに古いものが多い。ちょっとこの部分今の呼び方と違うのでは?という部分も多い。しかし、それを差し引いても十分に価値ある一冊だと思う。
 

Monday, February 15, 2010

その数学が戦略を決める

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①その数学が戦略を決める <イアン・エアーズ>

タイトルに「数学」なんていう仰々しい単語があり、さらに本文中では「絶対計算」という単語が連発されるのだが、要は統計分析・データマイニングがすごいですよ、と紹介する本。具体例がぎっしりなので、イメージしやすいと思うが、普段から回帰分析や多量データの集計をやっている人にとってはやや冗長な内容。

細かい話はともかく、本書の中で大きなテーマとなっているのは「専門家」の立ち位置の問題だろう。ダニエル・ピンクの『ハイ・コンセプト』でも、今の私たちの「仕事」の多くは、安い労働力とコンピュータに奪われるというメッセージがあったが、まさにそれ。多量のデータを解析し、状況を判断したり、将来を予測する手法が一定の力を持っていることは間違いなさそうだ。そんな状況下、我々人間はどこで価値を出すのか。

本書で特に面白かった例は第4章の「医師vsプログラム」の構図だった。
「イザベル」という実在の診断プログラムを使うと、医師は患者の症状を入力して、最も高い原因一覧を得ることができる。医師も知識、過去の経験等いろいろな情報を頭の中で結びつけて、症状の原因を探るということをする。ただ、知識は常にアップデートされているわけではないし、主観・思い込みの類が判断の精度を落とすこともある。もし、最新の論文や臨床結果までカバーしたデータベースにアクセスして、しかも高い精度で解を出してくれるプログラムがあったら…本当に診断医はいるのだろうか?医師という専門職の座が無条件に安泰でないことは明白だ。勿論、人間にしかない直感や発見はあると思うので、完全に診断医は不必要になるということはないのだろうが、少なくとも、診断プログラムとの「融合」医療は現実になりそうだ。僕は、本書内で診断プログラムと相性が良いとされている電子カルテにもかなり興味があるので、本章は面白かった。

あとは、第5章に、人間の弱点と人間に残されている「出番」について述べられている部分があったので、メモしておく。

・人間の弱点
「人は何かについてまちがった信念を抱いてしまうと、それにしがみつきがちだ。新しい証拠が出てきても、信念に反するものはつい軽視してしまい、既存の信念を裏付けてくれる証拠だけに注目してしまう」(p154)

・人間の出番は残されているのか?
「一言でいえば、仮説立案だ。人間に残された一番重要なことは、頭や直感を使って統計分析にどの変数を入れる/入れるべきではないか推測することだ。統計回帰分析は、それぞれの要因につける重みは教えてくれる。だが人間は、何が何を引き起こすかについての仮説を生み出すのにどうしても必要なのだ。」(p169)

この2点は本当に重要な点だろう。特に後者はこれからの時代を生きていく上で外せない方向性の一つだと思う。

その他読了後の感想をいくつか。
まずは、本書で言うところの「絶対計算」について。データを解析して将来を予想。これは易し。何%の確率でこうなります…そう言うのは多くのことで既に可能になっている。ただ、これからはバックテストの発想が必要かと思う。推定と検定というやつだろうか。このサイクルがよく回りだしたところで、ようやく超「絶対計算」時代が到来するのではないかと思っている。
もう一つは個人的に伸ばさなければならないところ。偏差の頭とベイズ推定。偏差の考え方は十分わかっているはずだが、"平均"の考えほど頭の中でスピーディーに機能していない。サンプルについて、平均と偏差を同スピードのセットでイメージできるようになるとだいぶ頭のスペックが上がる気がする。ベイズの理論についてはもう少し勉強する必要がある。これはかなり強力なツール。むしろなくてはならない。1冊本でも読もうと思う。


②入門の入門 "株"のしくみ <杉村富生>

基本部分を、何冊もの違うテキストで塗りなおすのが最近の好みで、株式関連の入門本もこれまでに何冊も読んだが、本書はかなり良書だと思う。それほど内容が多いわけではないのだが、本当に入門書として必要な事項がコンパクトに纏まっている。入門本としては間違いなくオススメ。

最近脳力の劣化が進んでいるとはいえ、95%程度は頭に定着したので、株の本はしばらくはもういいかな。また忘れたときに適宜。

感想を少し。
税金の部分に関して、2010年まではとりあえず、キャピタルゲイン、インカムゲイン共に一定額までは所得税と住民税併せて10%なのだが、こういう税率はどういう風に決めているのだろうか。年によっては"基本"の20%になったりと大きく違うようだが。もはや一種の介入であるような気もする。
同じく税金の話で、単純に株を保有したり売買したりする場合、法人は個人に比べて非常に不利だ。スケールメリット云々はあるものの、税金が違いすぎる。40%取られてはたまらないな。
 

Saturday, February 13, 2010

メルシャンのバレンタイン

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好きとありがとうは、どっちも告白だと思う。

メルシャンのバレンタイン。Love More!


メルシャンのポスター広告が地下鉄駅構内にあったのを見かけた。
ワイン・アンバサダーとして押切もえを起用。

しかしこのコピーは"?"と思う人の方が多いのではないか?
せっかく大々的に広告打ってるのに、もったいない気がする。

メルシャンの狙いは次の2点だろう。
①チョコ以外のものをプレゼントに。具体的には、ワイン。
②贈るのは異性以外にも。「友チョコ」の発想の強化・拡張。

既存の文化・風習に対し、二次元変化(贈るモノ・贈る対象の2軸)で新しい市場を創る。そういう戦略は好き。頭を柔軟にすれば、この発想でかなりチャンスは拡がると思う。世の中には凝り固まった風習がいくらでもある。

ただ、定着した風習から消費者の発想を解放させるには、ストレートな方がいいと思う。ストレートな広告を打つことにあまりリスクはないと思うし。
若い女性が母親のグラスにワインを注ぐとか、ワイン瓶を手渡す、とか。僕だったらそういう絵にして、コピーもわかりやすいものにする。


それはそうと、バレンタインのシーズン、ワインの売上はどれぐらい伸びるのだろうか?
 

Sunday, February 07, 2010

通勤大学シリーズ

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①通勤大学MBA13 統計学 <グローバルタスクフォース株式会社>

「通勤大学シリーズ」を手に取ったのは初めて。ネーミングがいい。
統計学の基礎を勉強しようと、本書ともう少しまともな(解説の詳しい)本の2冊を購入。
このコンパクトな本でまず全体感をさらりと掴むことが目的だったが、それは大体果たせたと思う。統計学とはどういうものかに始まり、平均や分散などの超基本要素から、回帰分析、検定に至るまでそこそこ網羅的。
本の性質上、数学的解説が乏しいのだが現段階ではそこはよし。けっこうビジネス的な具体例も多く、馴染みやすい内容になっている。
1冊目、統計学の勉強の"chapter 0"といったところ。


②投資ファンドの基本と仕組みがよーくわかる本 <岡林秀明>

秀和システムお得意の超入門。ファンドとは何か的なところから始まり、広く浅くファンドの種類と仕組みを解説。 コンテンツファンドにまで触れてあって、網羅性は高い。
ただ、基本的なところから離れないので、理解は深まらない。 本書を足がかりに、深堀りしたい用語・概念をGoogleで検索というのがいいのではないだろうか。
間違った箇所が散見され、そちらはマイナス材料。
 

Wednesday, February 03, 2010

沈みゆくVenice

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ニュースを追っていて一つの記事が目に入った。

『水の都ベネチア改修事業、潮位上昇と浸水に勝てず』

-以下抜粋---

2/1 Bloomberg:
「運河の町」として知られるイタリアのベネチアが、アドリア海の潮位上昇と頻度の増す浸水との闘いに負けつつある。この町は数世紀にわたって沈下している。

今日のチャートは、イタリア政府がベネチアを海面よりも上に維持するため資金を投じているにもかかわらず、浸水する日が過去最多に達していることを示す。ベネチアの名所であるサンマルコ広場は、潮位が平均海水面を80センチ上回ると浸水する。2008年には水位が156センチに達し、市内の車道や歩道の多くが沈んだ。

イタリア政府は、03年にスタートした45億ユーロ(約5600億円)規模のモーゼ・プロジェクトの資金の一部を拠出するにとどまっている。このプロジェクトでは、季節的な潮流や異常気象の影響で水位が上昇した場合にせり上がる78個の水門を建設している。竣工(しゅんこう)期限は当初の11年から14年に延期された。

ベネチアの潮流センターのディレクター、パオロ・カネストレッリ氏は電話インタビューで「モーゼ計画は最良のプロジェクトではなかった。目に見えるような改善は今までのところない」と指摘。「現時点でできることは14年まで成り行きを見守ることだ」と述べた。

ロンドンを拠点とする慈善団体ペリル・ファンドのベネチアの責任者、アンナ・サマーズ・コックス氏によると、モーゼ・プロジェクトを終了させラグーン(潟)の整備や歩道の引き上げには75億ユーロの追加費用が必要と見込まれる。

コックス氏によると、イタリア政府は既に、状況の改善に向け過去20年間に78億ユーロを支出している。ベネチアを訪れる観光客は1日当たり約5万人。イタリア銀行(中央銀行)のデータによると、国外からの旅行者が宿泊や食事、ゴンドラや水上タクシーなどの代金として支払う額は年間約23億ユーロに上る。

記者:Flavia Krause-Jackson、Giovanni Salzano

原題:Record Venice Tides Defeat $6.3 Billion Project

-UNQUOTE---

ベネチアにはつい最近行ったばかりだが、"沈没"の話はあちらこちらで聞いていた。街の美術館には、ベネチアが一度ひどい水没被害にあったときの写真集などもあり、とても印象的だった。

考えてみれば不思議な土地だが、あまりにも微妙なバランスの上に成り立っている都市ゆえ、その魅力と生活を支えるのは難しい。悲しいことではあるが、地球を包む大きな海の前に小さな島は無力すぎる。ベネチアを愛する人々、利害を考える人々、自然保護を訴える人々…いろいろな立場の、しかし同じ人間が、この美しい奇跡の街の未来をどう創るのか。ベネチアに魅了された一人として非常に気になる。

それにしても添付画像(チャート)を見ると絶望的だ。長いスパンで着実に街の未来は食われつつある。
大海の潮位上昇に人工的な水門で対抗するというのはサイズ感の観点で何だか滑稽にも思えるが、完成後、グラフがピークアウトすることを祈るのみだ。


National Geographic提供の素晴らしいページがあったのでこちらもご参照。
いろいろな仕掛けがあるが、特に潮位によってどの部分が沈むのか視覚的に分かるようになっているのが素晴らしい。
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/0908/feature02/multimedia/index.shtml

もう一つ、モーゼ計画について、こちらも詳しい。
http://www.wave.or.jp/outline/doc/vene_j.pdf