Saturday, October 09, 2010

欧州経済本

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①衝撃!EUパワー <大前研一>

昨年11月末に発行された、一応大前さんの欧州関連最新刊。昔から欧州に関してはPositiveな見方をしているようだが、本書も同様。欧州経済の教科書のような内容で、様々なデータをつなげて、一本のPositiveストーリーを描いている。筋は通っていて、ストーリーテリングも申し分ないのだが、この本の内容・考え方だけを丸呑みするのは問題がある。

大前さんの本としては、あまり光るところはなかったが、とりあえず欧州経済の概要を知るにはいいかもしれない。一つ面白かったのは、ユーロを「行きはよいよい、帰りは怖い」通貨だと表現している部分。財政規律を守れず制裁金を課せられ、ユーロから離脱することになる国があるとしよう。これだけ、経済にユーロが浸透してしまっているのだから、国として独自の通貨を発行し直したところで、流通通貨も決済通貨もしばらくはユーロのまま。そんな状況では当然に独自通貨は市場で見放され、価値を失うことになる。

欧州経済自体は全く侮れないし、ビジネスのマーケットとしても切るわけにはいかない。ただ、統合通貨としてユーロがこれからもうまくいくかどうかという点に関しては、正直グレーな気もする。行方や如何に。

現状、引き続き欧州各国の信用不安が続いているが、本書から1年が経とうとする今、大前さんは欧州をどう見るのだろうか。

②本当にヤバイ!欧州経済 <渡邉哲也>

大前さんの方がPositiveサイドなので、ほとんど同時期に発行されたNegativeサイドの本書も併せて読んだ。勝間さんではないが、本書に関してはAmazonのレビューはひどいなという感じ。内容のほとんどがネット上のニュースの引用で、そこに簡単な解説をつけただけのもの。時系列に永遠と記事の引用が続く。あまりにもストーリー性に欠くし、唯一一貫性があるのは、Negativeニュースを集めているという点のみ。今回の僕の利用法のように、Negativeニュースをざっとさらうのなら良いが、一冊の本としてこれはどうなんだろうと思ってしまう。

世のニュースの半分はNegativeニュースなわけで、こういう風に集めるのなら、どこの国についても、「本当にヤバイ!○○経済」という本が書けてしまう。
 

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