Sunday, February 17, 2008

中村紘子 ピアノ・リサイタル

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中村紘子のソロコンサートに行ってきた。  2/16 @サントリーホール

<Program>
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2「月光」
ショパン:4つの即興曲
シューマン:クライスレリアーナ Op.16
アルベニス:「スペイン」 Op.165より 第2曲“タンゴ”
シチェドリン:アルベニス風に

~Encore~
グラナドス:アンダルーサ
マクダウェル:魔女の踊り
ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調
チャイコフスキー:『四季』op.37bから「11月」
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番 ト短調
ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調 op.31


中村紘子は日本のピアニストの中では一番というぐらい有名で、ピアニストとしてのキャリアも来年で50年という大ベテラン。そんな中村紘子を僕が最初に知ったのは映像でも音声でもなく、意外にも「紙」の中でだった。中村紘子が講師をしていたNHKの番組「ピアノとともに」のテキストが家にあり、小さい頃からその名前と写真には触れていた。僕の中では中村紘子というのはそのテキストの中の人で、有名なのだろうけど大学に入るぐらいまで特に演奏も聴くことがないままだった。その後はCDなどで演奏を聴く機会はあったが、どうしても長年見ていたテキストのイメージがほとんどを占めていた。
長年持っていたイメージが実はだいぶ現実とは違っていたという経験は多い。そういうときは何かしっくりこないし、ときにがっかりする。音のない漫画を何度も読んだ後に、その漫画のアニメ版を見ると、自分の想像していたキャラクターの声とアニメ内での声優の声にギャップを感じることがある。それと同じだ。
しかし、CD以外で初めて聴いた、そして観た中村紘子のパフォーマンスは僕の長年のイメージ、すなわち1冊のNHKテキストからのイメージとすごく合致した。なんだか前から知っていたかのようにすんなりと受け入れることができたのだ。曲目や各曲の演奏内容もさることながら、今回のコンサートで僕が一番良かったと思えたことはそれだった。実家に帰ったときはもう一度あのテキストを開いて、講師中村紘子が記した注意点を見ながら「月光」でも弾きたい。

曲目について。クライスレリアーナは期待通りすごくよかった。僕はクライスレリアーナに関してはポリーニの演奏を聴きすぎて、それに慣れてしまっているため非常に新鮮に感じた。ポリーニとは全然違った世界観があってよかった。特に、8曲あるうちスローな曲に味があってよかった。
驚いたのはアンコールの曲数で、拍手が止まらなかったとはいえ6曲もやってくれるとはすごいサービス。最後に僕のお気に入りのスケ2がきて大満足。アンコールだけに少し駆け足気味だったが。
アンコールのサービス精神も「ピアノとともに」からのイメージとフィットした。その講座は、リサイタル形式でテキストを構成してあったのだが、アンコール用の曲目がたくさん用意されていた気がする。テキストの構成、そしてアンコールまで意識してある辺りに、中村紘子のリサイタルへの姿勢をみていたのだが、このイメージも間違ってはいなかった。

なんだかいろいろな感覚が湧き起こった、いいリサイタルでした。
 

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