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サルになれなかった僕たち <John Rolfe , Peter Troob>
原著は“Monkey Business”
日本では「ウォールストリート 投資銀行残酷日記」という題で単行本になっていたが、月日を経てそれが文庫化したのが本書。
外資系の金融機関にひとたびでも興味を覚えた方なら本書は非常にポピュラーなものだろう。
本場のアメリカでか日本法人でか、また外銀各社によってもだいぶ労働環境は違うのだろうが、投資銀行での生活がどのようなものなのかその一部分をおもしろおかしく垣間見ることができる。誇張されている部分もかなり多いし、愚痴の感が出すぎているところもあるが、そのあたりを割り引いて読むといいかもしれない。
内容にはただただあきれるばかり。もし本書の内容をそのまま飲み込むとすれば、投資銀行内で構成されるヒエラルキーの下層の人間が従事する仕事のひどさがこれでもかというぐらい伝わってくる。仕事と会社の奴隷。そして金の奴隷。
仕事を通しての自己実現と仕事に付随する要素(金や勤務地、労働環境…)、仕事外の生活(家族、趣味…)の充実という3つのバランスを考えるとき、外資系投資銀行は非常に分かりやすい位置にプロットされる。こうした極端な例はその3つの要素のバランスが人生の中で非常に重要であることを気づかせてくれる。推測にすぎないが、3つの要素すべてで最大値をとるということは不可能で、個人の人生観に応じて適切な位置に自分をプロットしなければならない。3つの要素のうち、「所得」という要素は数値化されていて比較が容易であるため、この部分だけで人生や生活の豊かさを比較してしまうということが起こりやすいのかもしれないが、それが間違いなのは明白だ。そういう視点を強く意識すれば、いたずらに人を羨んだり自分を卑下したりということはなくなるだろう。そして、「なりたい自分」というものを自分の軸で作り上げ、それに近づけるように邁進することができるだろう。極端な環境や人生の話を見聞きすることでそのような気づきを得ることができるのならば、このような本を読むことは有益だと言えるだろう。
ただ、本書は下品な表現があまりにも多いので注意が必要(笑)。
サルです、ほんとに。
Sunday, April 06, 2008
Monkey Business
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