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ビームスの奇跡 <山口淳>
ビームスっていうのは不思議な店だ。「店」であって会社ではない、未だにそんな感覚が拭い去れない。
ビームスではこれまでどれだけ買い物したか忘れるぐらい買ったと思う。
若い世代なら誰もが通る「服屋の基本」のような位置づけともなっているのはビームスだけではない。アローズやシップス、ジャーナルスタンダードなどのセレクトショップもまさしくそう。こうした世間での認識、位置づけにより、一時期はメジャーなセレクトショップがつまらない、陳腐だと感じたものだった。特にビームスはそのプレゼンスがいい意味でも悪い意味でも大きい。みずほ銀行のCMでビームストートがどうだなんてやっていたのも記憶に新しいし、最近ではセブンイレブンにビームスとコラボった文房具が置かれたりしていた。つまり、出すぎなのだ。誰にでも身近なところにありすぎる。
一部の人間はこのような状況をあまり歓迎せず、メジャー(≒陳腐)化していない服屋に出入りする。上述のように僕もそうで、一時期はセレクトショップなんて…という感じで、メンズノンノやポパイでピックアップされるような「小さな店」をハシゴする買い物の仕方をしていたものだ。
ところが、ある時からまたビームスを訪れるようになった。他のセレクトショップには足りない魅力があったからだ。(未だにシップスやジャーナルでは買い物はほぼしない)
インターナショナルギャラリーやビームスFとの出会いがきっかけだった。今も当時もビームスはメジャーで、どこにでもあるようなシャツやパンツが1万円ぐらいの無難(クオリティにしてはちょっと高め?)な値段で売られている。またビームスのロゴが入っただけのようなつまらない商品もあり、こういう部分を見ると何だかがっかりしてしまうのだが、一方でビームスにはいろいろな顔があることに気づいたのだった。ギャラリーには今も何ともいえない雰囲気があるし、最もメジャーなビームス東京とかでだってけっこうエッジの効いたアイテムが売られている。いろんなものに手を出していていろんなところで顧客を逃しているが、また attract する力も持っている。そんな気がする。
今は買い物の時間があまり取れないこともあり、便利さという意味でセレクトショップを重宝しているが、たぶん時間があってもビームスには足を運ぶと思う。なんか面白いからだ。
本書を読むと、客としてそういう気がどうして起こるのか、少し納得できるところがある。
ビジネスという観点からもビームスは非常に面白い。これも理由の分からぬ面白さ。こんな企業ありうるのか?と思わせるような内容が本書にはこれでもかと収められている。よくも絶妙なバランスをとりながら、売り上げを伸ばしていけるものだ(利益の方は心配だが)。読了したところで不思議感は拭えない。
しかし言える事は、やっぱりこういうビジネスは自由な人・感性のある人でないとできない。そしていわゆる株式会社のような企業の枠組みを壊さなければ成立しない。頭の固い、感性不足の巨大コングロマリットがアパレルやブランドに手を出してもイマイチなわけです。
何も考えぬ客としても面白いし、ビジネスとしても面白い。今後もビームスが絶妙なバランス感覚を駆使して、自社のポジションをキープできるのか、見物だ。
ビームスの最大のリスク=設楽社長の引退
これは幻冬舎のアナリスト説明会で聞いた内容と同じ。
幻冬舎の最大のリスク=見城社長の引退
ワンマンチーム、どこまでいけるか?
※ちなみに、ビームスFの"F"は"Future"のFらしい。初めて知った。そんなことも知らずにスーツ買ってたよ…。いいねぇ"Future"っていうコンセプト。
※あと、アローズが、言わばビームスからの"枝"だということも初めて知った。
Tuesday, August 26, 2008
ビームスの奇跡
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