Friday, August 01, 2008

ウェブ時代 5つの定理

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ウェブ時代 5つの定理 <梅田望夫>

『ウェブ進化論』、『ウェブ時代をゆく』とは形式が大きく違い、梅田さんがウェブ、シリコンバレー、今の時代の生き方…等に関係した金言を集め、本の形でシェアしたもの。
やはり梅田さんは若者に夢を与えるカリスマ性がある。「少年よ大志を抱け」というような hot なノリとはまた違うんだけれども、胸に何かが灯るような感覚を覚える。仮にシリコンバレーに行かなくとも、起業しなくとも、やりたいことを今すぐ始められなくとも、平凡な毎日の中、そういう感覚をふと思い出すこと自体にも価値があると思う。

梅田さんはオプティミズムを貫いた不思議と楽しい本で多くの若者を attract してきたが、今回はもっと上の世代にもメッセージが発信されていると感じた。第5定理は「大人の流儀」という題名になっていたが、後半はまさに日本の型に完全にはまった大人へのメッセージだ。正直言って今の日本とシリコンバレーでは環境が天と地ほど違いすぎる。若い人にいくら夢を見せたところで、受け皿がこれでは少し厳しい。シリコンバレーは「揺籃の地」と表現されるときがあるが、今の日本はどう考えても揺籃どころか、かごから立ち上がろうとする赤子があまりにも低い天井に頭をぶつけるという印象しかない。日本がこのような状況なのは決して若者に覇気がないだけではないし、技術志向が足りないだけでもない。上の世代がつくっている社会にも少なからず問題がある。若者を鼓舞するだけでなく、こうした日本の社会に対してもしれっと変化を求めるような文を忍ばせているあたりから、梅田さん自身は好きでシリコンバレーに住んでいるけど日本の未来のことも本当によく考えているのだと感じる。

さて、本書の冒頭で以下のような記述を見たときはホっとした。

『言葉の力はおそろしいものです。毎日毎日、心が萎えるような言葉をシャワーのように浴びるのと、オプティミズムにあふれた未来志向のわくわくする言葉に勇気づけられるのとでは、同じ人でもまったく違う人生が広がる。』(p10)

本当にそうだと思う。まさに後者の言葉を求めて本書を手に取った人は多いはずだ。
ズタズタな金融、物価上昇、環境問題…悲観すべきあまたの状況の中で、わくわくする言葉を発信し続けて他人まで幸せにするにはかなりのエネルギーがいる。本やブログなど万人の前でこうしたスタンスをとってくれるのは何ともありがたいことだ。
梅田さんのような人が社内にでもいたら面白いに違いない。まったく他力本願だが…
まぁ明確な目的を持ったら、生きる場所を変えてみるのがいいのだろう。

本書、数多くの金言が散りばめられてあり、共感・発見ともに多かったのだが、印象に残ったものを3つだけ引用しておく。

『大きく成長する会社は、ある時期に必ず異質な人材と組むものです。』(p79)

『ハッカーと画家に共通することは、どちらもモノをつくる人間だということだ。作曲家や建築家や作家と同じように、ハッカーも画家も、良いものをつくろうとしている。……ポール・グラハム』(p129)

『自分がやらない限り世に起こらないことを私はやる。……ビル・ジョイ』(p259)

3つめのビル・ジョイの言葉とかシビれるね。
明日も not creative な excel仕事をカチャカチャやってる時間があれば反芻しようかな。

"I try to work on things that won't happen unless I do them."

座右の銘の一つになりそうです。

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