Wednesday, March 05, 2008

“地球”を感じたその景色

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前回はラスベガスのカジノでの所感を記したのだが、旅の目的はどちらかというとラスベガス周辺にあるいくつかの国立公園に訪れることの方だった。旅自体はプライベートなところでもあるが、せっかくなのでこの目で見てきた雄大な自然についてもここに書いておくことにする。

<File#1> Grand Canyon National Park


言わずと知れた「地球の名所」。僕は子供の頃からここを自分の目で見るのが夢だった。
ラスベガスから車で5時間ほどで、サウスリムと呼ばれるエリアに到達する。写真はそこからの眺め。
この風景が自然に作られたということを考えるとき、人間の存在の小さいことをまざまざと思い知らされる。小さいというのは4次元的な小ささだ。縦横高さ、当然大きさのスケールは比べ物にならない。ただ僕がもっと比べ物にならないと思うのは時間軸の話。ここにある土や岩は地球の歴史を知っている。
地球の歴史をともに経験していない僕たち人間は地球のことを本当の意味できっと理解しえない。がんばって理解できるのは人類の生活空間としての星、そんなところだろう。
4次元の圧倒的スケールの前に立ち尽くす他なかった。この歳、この瞬間に地球の歴史の1ページを見ることができて本当に良かった。

<File#2> Zion National Park


古代ヘブライ語で聖域を意味する“Zion”
神の棲む山として何とも畏怖の念を感じずにはいられない佇まいだった。
訪れた日はもともと天候があまりよくなかったのだが、車で近づく僕たちを簡単には受け入れないかのように雲をはり、視界を悪化させ、光を遮った。
表情豊かな巨大岩の数々はそれがどのように形成されたのかまったく想像ができないほど芸術的な切り取られ方をしていて、自然に侵食されてできたと考えるよりは神の存在を感じずにはいられなかった。
グランドキャニオンではその圧倒的なスケールの前に息を飲んだが、ここではその神秘的な風景に魅了された。僕にとって地球上で最も大事な風景の一つになるであろうことが直感的に分かった。
四季の表情の変化が有名なこのザイオンに再び訪れてみたいと思ったのは言うまでもない。

<File#3> Death Valley National Park


シエラネバダ山脈東部に位置するこの国立公園は全米の国立公園中最大の面積で、とにかく広い。
その名のとおり、この場所は過酷な環境だ。公園内には海抜高度3368mのところもあれば、一方で海抜高度がマイナス86m(西半球最低)のところもある。
砂漠が広がる中に部分的に水がある風景は何とも不思議だが、この水は塩化ナトリウム濃度が以上に高い。デスバレーの低地全体に広がる白い色も「塩」だ。ここは昔海水に浸っていた場所で、今こうした風景が広がった経緯は複雑を極める。ここでもまた4次元スケールの大きさを目の当たりにする。
これは個人的な感想なのだが、一見無味乾燥地帯のデスバレーからは不思議なエネルギーを感じた。デスバレーと言われるぐらい地上の何もかものエネルギー源が吸い取られたこの土地から逆に何か地球の生命のエネルギーのようなものを感じたのだ。
1日しか滞在しなかったので、とてもその広大な場所を理解するには至らなかったが、地球上にこんな場所があるということだけは五感をフルに使って感じることができて良かった。



▼対比
ラスベガスというのはおかしな町だ。こんな大自然に囲まれて、しかも砂漠の中にポツリとある。
国立公園から夜にラスベガスへと帰る際には毎回必ず真っ暗な闇の中に、局所的に集められた光の点を見た。
地球を体全体で感じてからそのような光を見ると何だか滑稽に感じずにはいられない。雄大で、人間のもつ技術とかそういう小さなものを遥かに超えた地球の一部分と人工的なネオンの光の集合体との対比はとてつもない不協和音を鳴らしているような気がする。町に帰ってラスベガスの綺麗な夜景を見ると人類の営みとは一体何なのかということを考えさせられた。

STRATO SPHERE TOWER からの夜景


写真は他にも少しですが、Flickr に up してあります。よろしければ Blog の右サイドバー内のリンクからご覧ください。まったくどの国立公園もカメラが無能に感じてしまうぐらい写真には納まらないスケールでしたが…
 

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