Saturday, March 01, 2008

ギャンブル小話

------------------------------------------------------------------------------------
カジノが合法で、代名詞とも言える街ラスベガスに行ってきた。
そこで考えたことを記録しておこうと思う。

ギャンブルをするときに目的を明確にしている人は多いでしょうか?
ギャンブルの目的なんて単純で、お金を増やすことかゲーム自体を楽しむことぐらいだから、誰だってある意味目的もってやっているともいえるかもしれない。しかし目的を明確にするとなると話は別で、これができている人は思いのほか少ないのではないかと思う。
勝つことを目的にするならば、楽しさを追ってはならない。楽しむためにギャンブルをやるならスケアードマネーには決して手をつけてはならない。そして負けは遊戯料だと思って潔く認め、後悔はしないことだ。
ここをきっぱりできない人はあまりギャンブルに向いているとはいえないだろう。

今回はラスベガスのような大型カジノ都市を舞台にして、勝つことを目的とする場合のスタンスを考えたい。
まず、「勝つ」という概念を定義しなければならないが、ジャックポットを当てたときのような大勝は狙ってできるものではないし、本当に運のみの話になると思うので、ここでは元金を一定期間のプレイの後にプラスにするということを「勝ち」とし、これを目標にする場合を考える。
ちゃんとしたギャンブルには必勝法は存在しないのだが、勝つ可能性を上げるにはどうすればよいかを考える。各ゲームに対して、ペイバック率をコンマ数パーセントでも上げるような戦略論はいたるところで議論されているが、多くの人にもっと大事なのは精神的な要素やゲームに入る前のスタンスだろう。だから超上級の戦略や確率といったものは他の研究者にまかせて、僕はその点について書く。

最初に、勝つことを目的としてカジノでギャンブルをやる際のスタンスとして重要なことをまとめて3つあげる。

①率が良くて得意なゲームはやる。率が悪くてあまり知らないゲームはやらない
②勝ち逃げは当然
③感情を断ち切る

順に見ていく。

①率が良くて得意なゲームはやる。率が悪くてあまり知らないゲームはやらない
カジノというのは開く側にとってはビジネス。儲からなくてはビジネスにはならない。ただ、トータルで儲けられれば中身のバランスはそれほど重要でない。これが基本だ。
カジノにはスロットマシンやビデオポーカーのように機械を相手にするタイプのゲーム、クジのようなゲーム、そしてテーブルゲームと、様々な種類があるが、緻密な確率計算のもと、それぞれペイバック率というのが決まっている。スロットマシンのペイバック率は最悪、クラップスやBJ、一部のビデオポーカーはかなりいいというのは常識だろう。ビデオポーカーにいたってはペイバック率が100%を超える台すら存在する。ところがカジノの経営上、こういう台を置くことはさしたる問題ではない。他のペイバック率の悪いゲームでいくらでも客からお金を抜くことができるからだ。
したがって、「勝ち」を目標にした場合、ペイバック率の悪いゲームをやっていてはまず話にならない。スロットマシンは手軽で楽しいし、ジャックポットの可能性もある。しかしスロットマシンをやることは、すでに目的達成への道から外れている。もちろんカジノを楽しみたい人はいろいろなゲームにチャレンジして自由な時間を楽しむべきだ。

②勝ち逃げは当然
勝ち逃げというのは何だか気が引けるものだ。大きく勝った瞬間にそのテーブルを立ったり、はたまた小さなプラスでやめて小額の勝ちを確定するというのはどうもケチくさいのではないかという思いに駆られる。しかし、「勝つ」ためにはこの勝ち逃げのスタンスは基本となる。
ゲームを熟知し、基本戦略に従ってプレイをすればペイバック率はかなり高くなり、ゲームの種類にもよるが、97%や98%といったほとんど五分の勝負になる。このペイバック率というのは確率計算上の話なので当然有限試行ではムラが出る。したがって始めのうちは元金に対して浮くときもあれば沈むときもあり、試行の回数をずっと増やしていけばジリジリと負けていき、最後はペイバック率に収束する。この浮いたときにやめられるかが一つのポイントであり、プレーヤー側の権限として最も強力なものだ。ディーラーや運営側は自分の判断でやめることができないが、客はいつプレイを終了してもいいのだ。プレーヤー最大の利点を安易に放棄してはならない。勝った瞬間にやめよう。そして浮いた瞬間に席を立とう。それが確率的な不利さを超えるための一つの重要なスタンスだ。
例えばルーレットのケースを考えたい。0、00、1~36の計38個の目に対し1点で賭けて当たったときの収益は36単位。普通に考えれば、ペイバック率は 36/38 で95%以下。とても勝てるゲームとは言いがたい。しかし、プレーヤーの強みはいつでも試行をやめることができる点。毎回1点で賭け続け、例えば25回目に当たってそこでやめてしまえば収支は大きくプラス。こういう有利さを意識してゲームを選び、プレイすべきだ。
「勝つ」ことを目標にするのなら、プラスはこつこつとでいい。大きなプラスを求めるとそこにはかならず大きなマイナスの可能性が潜んでいる。

③感情を断ち切る
機械のように基本戦略に従ってこつこつとプレイするのは正直楽しくない場合が多い。たまには、何か自分の予感を信じて illogical な張り方をしたくなる。しかし、こういう気分転換的な数回のプレイがそれまでの着実な結果を台無しにしてしまう。それをしているうちはまだ本当に冷徹に「勝ち」を目標にできているとはいえない。
今回のラスベガス旅行では僕は楽しむことを目的にカジノにいたので、illogical なことはいろいろやった。ペイバック率の低いゲームをやったり、確率的には不利な賭け方をしたりといった具合にだ。その中で最も損失が大きかったのは、ルーレットの赤黒で大きく張ったときと、BJでマーチンゲール戦法を試したときだった。
まず、ルーレットの話。ある時点までは基本的な出目の傾向などを押さえて、確率の高いところに広く賭けてそれなりにこつこつと収益をあげていたのだが、ふと気がつくと赤が連続して8回も出ていた。もともと赤黒で賭けて盛り上がっているプレーヤーもいたが、さすがにヒートアップしてきてテーブル全体が赤黒だけのゲームかのような異様な空気を持ち始めた。このとき僕も何かの予感がしてそろそろ黒がくるだろという思いに駆られてそこから赤黒賭けに参加してしまったのだ。この後黒には各プレーヤーから多大なチップが投入されたが、結局赤が11連続で出るという結果で終わった。僕も黒に突っ込みすぎて、すっかりスッカラカンになってしまった。こんなときに口からでるのはたいてい、「まさか11回も連続で赤がでるとは」だとか「18/38の11乗だよ、ありえない」という言葉だろう。しかし、これは大いに間違っていて、反省しなければならない言葉だ。あらかじめ決められた11回の試行で全て赤が出るというのは上述の確率のとおりで、非常にめずらしい。しかし、自分の目の前で起こった11連続赤という事象は実際にはもっと大したことがないものなのだ。そのルーレット台の長い歴史を考えれば11連続で赤がでることぐらい大したことではないのだ。
例えばそのルーレットが1時間に30回のペースでまわり、24時間、365日、20年間稼動しているとすると、今日までに500万回以上の試行が行われていることになる。その500万回のどこかで赤が11回連続になっている確率なんて相当大きい。めずらしくもなんともないのだ。
1回1回の試行が独立であることを忘れ、自分勝手な間違った解釈で次はそろそろ黒だ!なんて考えると一気に負けてしまう。感情的にならず冷静でいなければならない。
同様に、マーチンゲール戦法も危険極まりない戦法。いわゆる倍プッシュで、1回でも勝てばそれまでの負けを取り戻し、1単位だけプラスになるというこの戦法は、予想を超えて連敗して手持ちに底が見えたときに破綻する。この戦法をとりたくなってしまうのは、五分の勝負で7回も8回も連敗しないだろうというような勝手な確率計算が原因だ。確かに特定の8回の試行で五分の勝負を8連敗する確率は 1/256 だが、数多くの試行をするなかで、たまたま8回連続で負ける箇所ができる確率は格段に高くなる。

「勝つ」ことを目的にした場合、一時の感情や正しくない確率計算をベースに賭けることは確実に失敗をまねく。まともなカジノに簡単な抜け道はなく、プラスにしたいのなら正しい確率のみを信じ、感情に流されることなく冷徹に試行を繰り返すしかないのだ。
上の①②③をしっかり意識してプレイするなら、「勝って帰れる」確率は高まるだろう。

以上、書き殴りですが。。

No comments: