Friday, October 31, 2008

Campo Marzio Design

------------------------------------------------------------------------------------

Campo Marzio の Document Holder を買った。
イタリアの文房具ブランドなのだが、僕は非常に高く評価している。
万年筆やペンはある程度有名かもしれないが、むしろ革製品にかなり魅かれる。

Campo Marzio の HP には多くのプロダクトが載っていて見ていてもとても楽しいのだが、如何せん日本であまり見ない。まず店舗が日本にはない。これについてはあと5年以内ぐらいにできることを期待するのみだが、インテリアショップなどでもそれほど多くは出回っていないだろう。(あまりリサーチできていないが…)

たまたま COREDO の DESIGNWORKS に入ったらボルドーの Document Holder があったので即買いしてしまった。色的に会社に持っていけるかはかなりギリギリのラインな気もするのだが、気に入ったので。他の色(ブラウンやネイビー)も買いたいところ。
とてもシンプルなデザインなのだが、イタリア独特の色合い、そして高い quality が魅力。逆にシンプルさが素材や技術、色味といった基本的要素を際立たせている。もちろん超高級品を調達すればそれは文句なしのプロダクトなのかもしれないが、手頃な価格で売っているところに真のクラフトマンシップ、そして文房具屋としての信念を感じる。
出張・旅行などでヨーロッパ、シンガポール、香港などに行ったときはいろいろ買いたい。
早く日本に出店しないかな…


画像はHP内ものを capture して適当に編集したもの。左下のボルドー買いました。ブリーフケースも渋い。

こういう quality のものをそこそこの価格で世に出す。
う~ん…まさに「良い仕事」だな。

Campo Marzio HP
http://www.campomarziodesign.it/index.html
 

Monday, October 27, 2008

株とギャンブルとマーケットと

------------------------------------------------------------------------------------
  

ネコでもわかる株の売買
90分でわかる株・証券の仕組み

本棚に長いこと眠っていた株の本を週末にぱらぱらとめくった。2冊ともけっこう古い本なので制度的にも相場的にも?時代錯誤の感が否めない感じではあるが、ちょっとした相場用語のおさらいという意味と、当時の株入門本はどんな教えをしていたんだっけかという純粋な興味で読んだ。もちろんかなりざっくりと。
感想としてはすごく素直なテキストだなという感じ。ただやはり「株はギャンブルとは違って真面目なものだよ(リスクはあるけど)。さぁ始めよう!」というのがスタンス。

このような古い本と今の市況とを比較すると何だか滑稽に思える。当時から投資を続けてきたネコも今は真っ青だろう。
本の内容はどうでもいいとして、Volatility の高いものへの投資は株だろうが債券だろうが為替だろうがギャンブルに他ならないと思う。「よほどの玄人」でない限り、今株式に投資することがギャンブルでないなんて言えない。この議論はよくなされるところで、大抵の教科書では「株はギャンブルではない」が答えになっているのだが、それは多分に経験論だと思う。たまたま、セオリーを守って、しっかり勉強してまっとうに投資すれば勝つ確率が負ける確率より高かったという経験がまたセオリーを生み、それが脈々と続いていただけ。そうして作られた、且つ数式を使った理論とも一致する「分散投資&長期保有」なんていう絶対的なセオリーも今ではクエスチョンマークだ。

パラダイムが変わりつつあるのだから、ギャンブルであること、もしくはギャンブル性が極めて強いことをしっかり認識することが素人にとって一番大事な姿勢ではなかろうか。従って、やるならギャンブルの鉄則である「Scared Money には手を出さない」ことをまず守って今のマーケットを"遊ぶ"べきだろう。
僕はというと、日本株なんかは買いたいところだけど、ラスベガスでのルーレットを思い出して踏みとどまっている。今がいくらかなんて関係ないんだよ、きっと。過去の数字と比較しても意味がないんだよ。テーブルの上には世界中の人々の不安と欲望が蠢いている。

話は少し変わって明日(というか今日)の仕事の方。
あと4時間半後には起きて会社行ってロイターのスイッチ入れるわけだけど、あまり行きたくないというのが正直なところ。下馬評では下げ材料ばかりで僕自身もあんまりいい気分はしない。金曜に虐殺相場を呈した為替もね。ここ2ヶ月間ぐらいのどの通貨の対円チャートを見ても、PCのモニタが右に傾いてるのかという錯覚までは起きないものの、そんな感じ。もはやイギリスかオーストラリアかニュージーにでも旅行に行きたい。


PS.
「今の相場は異常。」そうやって思うこと自体が実は間違いだったり。
異常というのは通常あっての概念。これまでのマーケットは通常だったのか?
静寂と激動を共に孕んだマーケットこそ"通常"、"フツー"なのではなかったか。
 

Wednesday, October 22, 2008

Lipton × Select Shop

------------------------------------------------------------------------------------

上の画像は紅茶のLiptonとセレクトショップとのコラボキャンペーン広告をcaptureしたもの。

こんな広告を知ったのは、10月14日に発売した"Lipton THE ROYAL"を既に3本飲み終えた後のことだ。
今日が21日だから、8日間で3本購入という貢献具合。もちろん発売日自体も知らなかった。
何か飲み物を買おうと仕事帰りに立ち寄ったコンビニで偶然上記のコラボを発見し、試しに買ってみたのが最初で、今や3種類のクリップ(BEAMS,SHIPS,ARROWS)が手元にある。消しゴムは如何せんいらなかったので。

このミルクティー、味はまあまあいいとして、パッケージのデザインが結構気に入っている。色合いがなかなか良い。このLiptonに始まった話ではなく、500mlペットボトル飲料のパッケージデザインはかなり洗練されてきていると思う。
要はマーケティング力。紅茶を飲みながら Unilever やるなぁと思ったのだが、ネットでちょっと調べてみてびっくり。僕の中では完全に Lipton=Unilever だったのだが、意外に複雑だった。紙パックタイプは森永乳業との、ペットボトルタイプはサントリーとの共同開発商品なのだ。LiptonブランドはUnileverだが、基本的に商品開発は飲料メーカーというような仕組みなのだろう。

ところでサントリーの商品開発力というかマーケティング力はかなりのものだと思っている。ソフトドリンクであれば、DAKARA、伊右衛門、黒烏龍茶のマーケティング成功例は有名。現状上手くいっているかどうかはわからないが、BOSS、なっちゃん、C.C.レモンなども、超激戦のソフトドリンクマーケットでは名が通っている(+生き残っている)。
そんなサントリー&Unileverが打ち出した Lipton THE ROYAL の"おまけ"は飲料のおまけとしては珍しいファッションブランドもの。BEAMS,SHIPS,ARROWSのようなセレクトショップを"ブランド"とすることには若干の抵抗はあるが、オリジナルの商品ラインも充実しているし、その知名度を考えてもここではブランドとしておく。
Liptonサイドにとって、ある程度ターゲットを絞って今回のようなキャンペーンをやったのはなかなか効果的だと思う。前例があまりない(僕が知らないだけ?)だけにこれを実現できた背景と、その実際の効果には非常に興味がある。
一方で、セレクトショップサイドに立つと、このキャンペーンへの参加はどうなんだろうとも思う。本当にwin-winなのだろうか?BEAMSは他の2ブランドとは違って、こうしたコラボに取り組んできた背景がかなりある。セブンイレブンではBEAMS文具が売っているし、スバルとのコラボ、みずほ銀行のトートバックキャンペーンなども記憶に新しい。何より、グッズだけではなく本当に広くBEAMSのネームを浸透させているという印象だ。実際BEAMSの組織内にも「服」以外のことを仕掛ける部署・会社が数多くある。BEAMSというのは何だか掴めない企業で面白いのだが、いずれコングロマリット的な組織になり、社会の至る所にファッショナブルなセンスを提供する企業というかブランドというか…になると感じている。(もっともBEAMS内部でそれを良しとするかは別の問題だが…)
ところがSHIPSとARROWSはそんなBEAMSに比べると断然「服屋」だというのが僕の持っている感覚。オリジナルも提供する、服を中心としたファッションのセレクトショップだと思うのだ。BEAMSとは現状決定的に違う。そうした背景のもとでは、BEAMSと足並みを揃えて、スーパーやコンビニで買える150円のペットボトル飲料の「おまけ」に"SHIPS"や"ARROWS"の文字を入れてしまうことの危険性を感じる。生半可なvisionではブランドをますます陳腐化させるだけだ。ファッションの世界ではメジャー化と陳腐化は隣り合わせどころか超隣接。ブランド経営の永遠のテーマだ。先駆者のBEAMSだってこれからどうなるか分からないし、いろいろな葛藤の中こうしたコングロマリット化の動きを推進しているというのに、BEAMSの後追いではSHIPSやARROWSはウマくないと思う。ARROWSは「服」にフォーカスすればBEAMSより好調なぐらいなのだから、ここが勝負の分かれ目、判断時だと思うのは僕だけだろうか。

何れにせよ、セレクトショップビッグネームの動きには今後も注目。
 
ZOZORESORT
http://zozo.jp/_event/lipton/?KID=11201

Lipton THE ROYAL
http://www.lipton.co.jp/product/rtd.html
 

Sunday, October 19, 2008

Noteflight を使ってみた

------------------------------------------------------------------------------------
ネット上の作曲ツールを使ってみた。
100SHIKI.com で紹介されていた『Noteflight』がそれなのだが、なかなかGood!
ネット上で本当にいろいろできる時代になったなと思う今日この頃。

説明書きをざっと読んで実際にいじってみると、最初は使いにくさを感じたものの、慣れてくると作業スピードが上がってきた。マウスを使っても当然作業できるのだが、注目すべきはキー操作が可能な点。音の高さを変えたり、♯や♭をつけたりはもちろん、連符の指定などもワンタッチでできる。また、Ctrl+C や Ctrl+V などのお馴染みのショートカットも使える。すべての機能をしっかり頭に入れた上である程度慣れてくれば便利なツールになるだろう。

β版だし、今後もっと改良されることが期待できるが、実際に使ってみての現時点でのデメリットは次のようなもの。
①リズム・拍子の自由度が低い。例えばメジャーなところでもリストのような譜面を書くのは難しい、というか不可能?
②音符のレイアウトがイマイチ指定できない。音符や記号が込み合ったときに、融通が効かないため非常に見にくくなる。
③音は書けるが、音楽性をプラスできない。Staccato, Marcato, Tenuto, Fermata とかそれぐらい。スラーはないし、強弱記号もない。当然 ritardando accelerando のような部分的に速度を変える記号もない。
④いくつか楽器が指定できるが、如何せん音がよくない。非常に陳腐。

操作性、インターフェースはなかなか良いのだから、上記のような点が改善されてくるとかなりのツールになると思う。今後に期待。


実験がてら今日とりあえず作ったものを貼っときます。
上記のように現段階ではあまり音楽っぽくできないので、シンプルなフレーズを作ってみました。
シンプルということで、最後はもろにバッハ風に無理矢理纏めてみました。



Noteflight
http://www.noteflight.com/

 

Saturday, October 18, 2008

Warren Buffett のコメント

------------------------------------------------------------------------------------
今週もとんでもない1週間だった。株価の回復も束の間、また暴落。
こうした中、CNNを読んでいるとバフェットが面白いコメントをしていた。
バフェットが彼個人のポートフォリオは米国債だけだと言っていた時期から一転して、今は株を買っているという記事。その中でいくつかコンパクトながらズバッと言っている部分があるのでメモということでここに引用しておく。

①投資のシンプルなルール
『A simple rule dictates my buying: Be fearful when others are greedy, and be greedy when others are fearful.』
この哲学に従えば、今はまさに"その時"。
こういう信念を持った投資というのは強いとも思うのだが、僕のようなペーペーにはこの状況をそれほど高いところから俯瞰するだけの目がない。目というか哲学がない。


②ちゃんとした企業は長期的には成長?
『Fears regarding the long-term prosperity of the nation's many sound companies make no sense. Most major companies will be setting new profit records 5, 10 and 20 years from now.』
5年というのはあまり賛同できないが、10~20年後の回復の見通しには十分頷ける。
ただ、「既存の優良企業が軒並み記録的な利益を出す」という状況は果たしてどうなのだろうか。
GMの話ではないけど、この金融危機が閉幕した後の世界では、フィールドに立つプレイヤーが今とは大分入れ替わっているのではないかという気がする。


③米国の未来は大安売り
『Bad news is an investor's best friend. It lets you buy a slice of America's future at a marked-down price.』
"Bad news"はバフェットにとってはスーパーのチラシのようなものなのだろう。
これももの凄く短いセンテンスなのに、信念めいたものが感じ取れる。

出典元:
http://money.cnn.com/2008/10/17/news/economy/buffett_op_ed/index.htm?postversion=2008101709

さて、来週はどうだろう。
今の水準からもう一発大きい下げがあると、日本の中小企業も相当参ってしまうだろう…

PS
航空会社よ、油価が下がってきてるんだから燃油サーチャージを下げてくれ。
円高の楽しみといったら海外旅行でしょ、日本人にとって。
 

Sunday, October 12, 2008

World University Rankings 2008

------------------------------------------------------------------------------------
THE-QS世界大学ランキング2008が発表された。
THE(Times Higher Education)社とQS(Quacquarelli Symonds)社の発表する最も有名なランキング。大学のランキングはいろいろあるし、それによって順位も異なるのだが、最も有名なランキングというのは例えば留学する人にとって一つの大きな判断材料となる。国を越えた人の移動がますます多くなるであろうこれからの世界では、大学側にとってもこうしたランキングを意識することが少しは重要になるだろう。

TOP10 は以下の通り。
1.HARVARD University [us]
2.YALE University [us]
3.University of CAMBRIDGE [uk]
4.University of OXFORD [uk]
5.CALIFORNIA Institute of Technology [us]
6.IMPERIAL College London [uk]
7.UCL (University College London) [uk]
8.University of CHICAGO [us]
9.MASSACHUSETTS Institute of Technology [us]
10.COLUMBIA University [us]

ご覧の通り、すべて米・英。さらに11~15位もすべて米大だったりする。
発表されているTOP200はTHE社のサイトで見れます。
http://www.timeshighereducation.co.uk/hybrid.asp?typeCode=243&pubCode=1

日本の大学はどのぐらいの位置にランクインしているかというと…
19.東京大学
25.京都大学
44.大阪大学
61.東京工業大学
112.東北大学
120.名古屋大学
158.九州大学
174.北海道大学
180.早稲田大学
199.神戸大学

世界TOP200のうち10校とまぁまぁ健闘している気もするが、先進国、科学技術立国、経済大国とうたっている割には情けない。国民一人当たりのGDPランキングで低位置にいるのも教育の影響があるのではないか。
ところで、日本では有名な一橋大学と慶應大学がTOP200に入らなかったのは残念(慶應は去年は161位に入っていたものの今年は評価を下げ、ランク外)。慶應は研究成果的にはちょっとという感もあるが、総合的な教育の場(どっちかというとビジネスより)としては僕は高く評価しているだけになんだかなぁという感じ。ビジネス界においては凄い奴はダントツで慶應出身が多い。"上"を伸ばす機会と教育のある大学だとは思うが、"下"になってしまう学生があまりにも割合的に多いのが問題なのだろう。人数も多いし仕方ないか…

このTHE-QSランキングのメソッドは下記QS社のサイトにある。
http://www.topuniversities.com/worlduniversityrankings/methodology/simple_overview/

先に挙げたTHE社のサイトと文言は違うが、以下6つの項目に重みをつけて評価している。
①PR:Peer review score 研究者の評価 ― 40%
②REC:Recruiter Review score 雇用者の評価 ― 10%
③SFR:Student Faculty Ratio 教員数と学生数の比率 ― 20%
④CIT:Citations per Faculty 教員一人あたりの被論文引用件数 ― 20%
⑤INTF:International Faculty Ratio 外国人教員比率 ― 5%
⑥INTS:International students Ratio 外国人学生比率 ― 5%

TOP10入りした大学の平均スコアをレーダーチャートにすると以下のようになる。


一方で、TOP200入りした日本の大学の中で、サンプルとして、2強の東大京大、非総合大学として唯一ランクインした東工大、私学として唯一ランクインした早稲田大のスコアを同様に作成してみると、以下のようになった。


こうして見るとどうも、日本の私学の弱点はSFRとCITつまり、教員・学生比率、そして被論文引用件数。この2項目は比重も大きく、日本の私学の現状の形態ではアカデミックな場としては世界であまり認められていないことを意味している。いい大学の定義にもよるんだろうけどね…
東大京大含め、日本の大学全体に圧倒的な問題として残るのがINTFとINTSの低さ。即ち国際性の低さ。確かに日本の大学は外人教授も留学生も非常に少ない。特にアジアでは教育においても日本はリーダーでなくてはならないはずなのにプレゼンスが低い。この一番の原因は言葉だろう。
今の日本の現状では外国の学生は授業になかなかついてこれない。言語が日本語だからだ。
いきなり外国人学生の誘致を促進するのは難しいにしても、僕は英語で授業をする外人教員がもっと増えてもいいと思う。そりゃ英語がからっきしだめな日本の学生にとって英語の授業はきつい。しかし論文だって英語だし、世界の知の多くは英語で蓄積されている。英語から遠ざかっていてはやがて日本が孤立してしまうことは間違いない。時間が湯水のようにある大学生に対する教育だからこそ、嫌でも英語力が上がるような高等教育現場にすることが重要なのではないだろうか。結果として、日本の大学のグローバル化も進むはずだ。ランキングの指標に迎合するというわけではないが、日本の大学は国際性を向上させるための改革をもっと radical に進めるべきだろう。
 

Thursday, October 09, 2008

マーケット大荒れ

------------------------------------------------------------------------------------

最近仕事量が増えている。というのもマーケットが荒れているため、いらぬ仕事がかさんでいるのだ。
昨日は日本人ノーベル賞も出たし、株はどうだろかなと思って出社すると、いきなりガツンときた。
前場の段階でTOPIXは40p以上下げて、結局この有様(前日比▲78.60p)。
本当にどうかなっているとしか思えない相場。日経平均▲952円は下落率ベースで歴代3位とのこと。
かなりの優良&高収益企業でもPBR1倍割れが続出…
配当利回りも異様に高い。何だかゆるやかな恐慌といった様子。
アナリストのレポートを見るとセリングクライマックスだという声もあるし、配当利回り、PBRを考えても普通であれば割安感充満の相場。それでも関係なしに落ち続けるのは何か世界のパラダイムが変わろうとしているのかもしれない。これまでもてはやされてきた投資理論やヒストリカルなリスク評価法、さらには財務指標などがあまり当てにならない、急に視界が闇になった状態にマーケットはパニックに陥っている。
僕自身、今こそとばかりに株を仕込みたい気持ちもあるが、いざ意思決定をするとなると、静観という選択肢をとってしまうだろう。こういうのが「不安感」というやつだろう。

為替も大変なことになっている。為替ってこんなに動くっけ?というほどのボラの高さ。
リスク回避傾向ゆえ世界で円最強状態なのはいいとして、AUD、NZD、BRLなどの動きっぷりは相当なもの。
資源国通貨がここまで下がるとこれまた買いたくなってしまう。
AUDの外貨預金とかに余資をつぎ込みたい衝動に駆られる。金利も高いし長期的に見れば絶好の仕込み時だと思うんだが…
短期的なFXでポジション張ってる人にとっては今は戦場なのだろうが、余資をどうするかという人には稀に来る大波だろう。(きっと)

マーケットがこうなったのは、サブプライム問題から始まる一連の信用低下の流れのせいだとされる。しかしこれはある意味当然のことかとも思う。何らかの合理性を利用して複雑化すればするほど、ロジックで張り巡らされた合理的な空間ができるかと思いきや、実はそれが超非合理的なひずみだらけの空間だったりもする。これはマーケットに限らずいろいろなフィールドで起こりうること。
巷では"論理的思考"や"ロジック"をわけもわからず崇拝する傾向が近年強い気がする。確かに基本的な部分ではロジックは非常に重要。ただ、巷に溢れるロジックで完全なものというのは実はほとんどない。
完全なロジックとは数学や物理の世界。「x≦2,2≦xを満たすとすればx=2」こういうのは完全体。
しかし、実際の世の中を作り上げているロジックというのは不完全なものだらけ。一般的にとか経験的にとかほとんどとか欠陥つきのロジック。小さな欠陥も掛算をするとたまに大きなひずみを作り出す。これは不可避。一つひとつのロジックに欠陥があるのは当たり前。実世界なのだから。問題なのは掛算の回数、即ち複雑化の度合いなのだ。
いろいろな意味での"向上"という得体の知れない欲求のために我々は高度なものやシステムを生み出すのだが、実はそうした営みによって人類を絶滅させるだけのインパクトのあるinvisibleなリスクが着々とため込まれている。誰に聞いたわけでもなく、子供の頃からそうした感覚はあった。複雑化、崩壊、複雑化、崩壊…地球、いや宇宙ではこれが繰り返されてきて今に至るのではなかろうか。

たまたまこういう稀に見る激動期に、仕事上日々ロイターやBloombergを見ているので、日記的な感じで相場についての所感を記録に残しておくまで。

そういえば、話は変わって、ついにGFPがノーベル賞になったかという感じ。
バイオの世界じゃGFPはリトマス紙ぐらい大事だろう。いや、それ以上か。
とにかくめでたいです。


(これぞGFP!という上の写真は、古いですが以下理研のページより)
http://protein.gsc.riken.go.jp/News/PressRelease/030519/
 

Sunday, October 05, 2008

エネルギー

------------------------------------------------------------------------------------
   

エネルギー(上)・(下) <黒木亮>

『トップ・レフト』や『巨大投資銀行』で御馴染みの黒木さんの新刊。
題名は味もそっけもない『エネルギー』だが、読了してみると、確かにいろいろな意味を込めて一番シンプルなエネルギーという題名をつけた作者の気持ちもわかる。
主な舞台は産油国周辺(中東、ロシア)とマーケット周辺(英国、シンガポール)、そしてもちろん日本。
物語は3つの商社「五井商事」と「東洋物産」、「(旧)ト―ニチ」を中心に、エネルギービジネスの裏側を描く。
本書はフィクションということになってはいるが、ノン・フィクション度合いが強すぎる。社名・プロジェクト名は、ストーリーへの関わり具合(もしくはエグさ)によって実名か少し変えられた名前かに分けられているが、基本的に手を加えられた名称にボカシの効果はない。特に詳しくない人でも容易に想像がつくものばかり。丸の内にある商事といえば一つしかないし、大手町にある物産というのも一つしかない。外銀の名前もCSFA、JPモリソンなどほとんどそのまま。一方で、ストーリー上重要なCAOやガスプロムといった企業は実名で出てくるからこの辺りの線引きも謎。
とにかくどこまでが事実でどこからがフィクションなのか分からないぐらいの作品で、内情をよく知る人からは「リアルすぎ、エグすぎで読めない」という声もある。まったく黒木さんの豊富な知識と情報収集力には舌を巻く。また人脈という意味でも恐ろしい。黒木さん自体は「五井商事」の出身なので、五井商事の内情をよく知っているというのは分かるが、東洋物産、トーニチについてもこれだけリアルに書けるというのは本作品が相当なリークに下支えされているということに他ならない。

さて、内容はというとエネルギービジネスの2つの側面をパラレルに描いたもの。一つは油の出ない日本がどのようにエネルギーを確保するかという実需の話。もう一つはマーケット上でのエネルギー・デリバティブの話。どちらも世界規模で(特に日本では)重要なこと。実需の面で世界は石油の争奪をしているし、最近の原油価格の高騰は一般的な日本人でも数字のみならず実感しているところだろう。エネルギーを巡って一般の人々に見えないところではどのような戦いが繰り広げられているのか楽しみながら理解することができるのが本作品だろう。本作品をじっくり読めば、何気ないエネルギー関連のニュースの裏にある動きを何となく想像できるようになるだろう。上述したように、企業名・プロジェクト名もほぼナマのもの、また時間軸もリアルなので非常に勉強になる。下巻の巻末には簡単な用語集がある上、本文中にも分かりやすい説明が挿入されている。政治の話も多分に絡み、確かに難しいのだが、普通の人が読めるギリギリのレベルになっていると思う。
小説としても、黒木さんらしく躍動感溢れたものになっている。仕事帰りの眼精疲労をしょってもついつい電車の中で読んでしまう作品だった。詳しい内容については触れたいことも多いのだが、ここで論ずるのはやめときます。

しかし、commodity の最近の volatility の高さには驚く。WTI先物はここ1ヶ月、ただ一瞬を除けば100ドル±10%程度で落ち着いている感もあるが、一向に動きが予測できない。実需の面で考えてもスペックの面で考えてももうしばらくは大きく下がることはないというのが個人的な感覚です。長期的には commodity につぎ込まれている資金ははじけるんだろうけど…