Monday, January 12, 2009

「斜め」路線の2冊

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①「人たらし」のブラック心理術 <内藤誼人>

すごく真っ当な本。題と表紙が滑稽なほど。そして軽い。
「人を動かす」などの歴代の名著は、根っからいいことを書きながらも、人間対人間の問題と戦略的に対峙する方法を匂わせてきた。とりようによっては、なんか打算的だなという印象も受けるが、人間と付き合う方法を書にした時点で多少はそういう匂いがしてしまうものなのだろう。一方で、本書は「割り切り」をして、「人たらし」、「ブラック」という単語を使って対人間法を解説している。
しかし、内容は結局それほど変わらない。だから歴代の名著を読んでいればそれで事足りる、というか本書はそれに遠く及ばない。ただ、この価格の文庫本でより多くの人に気づきを与えることができるのであれば、それがこの本のvalueだろう。
ちなみに僕個人は「人たらし」の処世術が大変苦手だ。社会で生きていく上で、ほぼ必須であることはわかりつつも、何か打算的な匂い、そして自分に正直であるということに反する感覚が気持ち悪いのだ。この辺りをどう捉えるのか、今の会社では学ぶべきところが多いように感じる。


②科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと知っている
 <丸山茂徳>


新書というのはその情報、主張の質にバラつきが多いものだが、本書はB級通り越してC級であるように感じられた。地球温暖化の原因についてはWikipediaを見ても分かるように、諸説ある。どれも決定的ではなく、仮説に基づいて対策が協議されているというのが現状だろう。題名から、本書はそうした地球温暖化原因諸説について科学サイドから論じる本なのだろうと思って内容を見ずに購入したのだが、読んでみるとひどい。
まず、題名の9割云々という部分がウソだ。別に科学者の9割がCO2犯人説はウソだと思っているわけではない。中学生でも疑問に思うようなロジックのねじ曲げを大胆に行い、その後も少しずつねじ曲げたロジックを微調整という展開。次にひどいのが、何の本かわからなくなってしまっている点。前半では科学的な話を展開しているにも関わらず、後半は筆者にとって専門外の社会・経済の話。それではやっぱり浅くなる。

総じて何だかよくわからない新書だったが、前半の科学的な部分だけは、そういうデータもあるのね、というinputにはなる。政府、メディアの発言を受け、地球温暖化の原因はCO2だけだと思い込んでしまっている人にはこの部分は読む価値があるかもしれません。ただし、ネットでも十分そういう情報、データにはリーチできますけどね。

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