Saturday, January 19, 2008

「超」整理法

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「超」整理法 <野口 悠紀雄>

野口悠紀雄の名前が専門以外のところで世に知れたのはこの本によると聞いていた。 そんな有名な本を、古い本ではあるが読んでみようと思って買った。(この手の本は普通古いと使えなくなっているものが多いのだが…)

読んでみると、コンピュータ関連のところはやはり今とは時代が違うため、参考にはならない。ただしかし、あの時代での筆者の適応力と先見性には目を見張るところがある。
さて、本書で一番注目するところはやはり序章と第1章だろう。それまでの整理法の常識を覆す発想が時間軸検索を用いた「押出しファイリング」というシステムであり、なるほど読んでみると確かに合理的だし、画期的だと思った。この部分は現在でも使えるのではないだろうか。
人間の記憶は「場所・位置関係」よりも「時間順」の方が精度がいい…うむ、確かに。
著者の命名法もなかなか面白かった。『家出ファイル』、『神様ファイル』、『ドッペルゲンガー・シンドローム』などなど。独特。

個人的にはところどころに散りばめられている著者のユーモアもツボだった。
p47のニハチの法則のところでは、『本書は例外』発言。
p81の写真には著者の本ばかりが並ぶ…等々。


ところで、第4章、終章には整理法という本題からは外れているが、非常にいいことが書かれているので引用しておこうかと思う。

『遊ぶ時間を十分に持つことこそ、究極的な「発想法」であろう。』(p202)

『知的な人々が周りにいれば、理想的なインキュベーターになる。』(p202)

『画一的な受け身の知識習得型から個性的で創造的な情報処理型へと、能力開発の方向を転換させる必要がある。このような能力を持った人材こそが、これからの日本を支えるために不可欠なのである。』(p218 終章 最終段落)

どれも、その通り!と素直に思えるものばかり。しかし、3つ目に関してはこの本の刊行から15年近くが経つというのに日本の教育の現状は改善どころか悪化しているような気がするのは僕だけだろうか。
 

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