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21世紀の国富論 <原 丈人>
個人的にVCに対する興味は大きく、6月下旬に発行されてすぐに買った本。
スタンフォード大の経営学大学院と工学部大学院をともに修了した原さんは日本人ベンチャーキャピタリストの草分けとしてシリコンバレーを代表するキャピタリストのひとりとなった方。
今日本がアメリカに遅れてビジネススクールブームの真っ只中にいる一方で、原さんは非常にアメリカ的な(ビジネススクールやシリコンバレーのVC)環境で育ち、ビジネスをやってきたにもかかわらず、そこに染まることなく冷静に今の資本主義の弱点を指摘する。
内容は大きく分けて2つ。
一つは今の資本主義のどこが間違っているのかについて。
ここではROE至上主義的な経営のどこがまずいか、ヘッジファンドの話、ストックオプション制度についての話、コーポレート・ガバナンスのあり方などがわかりやすく、かつ本質を突いた形で展開される。
今日本でも起きているファンドによる企業買収のニュースなども見方が変わるかもしれない。
もう一つは、ポストコンピュータの技術を例に挙げてのこれから日本がどうしていくべきなのかという提言。
PUC技術について少し専門的な話も入り込んで本論からずれる部分もあるが、興味深い内容であり、最終的には本論にしっかりと帰着する。
同氏が国連機関と深く関わっていることもあり、国際関係についての議論もなされる。
この本は全体としてしっかりした基盤技術を大事にして、単なるマネーゲームに踊らされることなく資本主義を有意義な形にしようというスタンスがうかがえる。ビジネススクール、ベンチャーキャピタルという非常にアメリカ型の経歴をもつ同氏だが、基盤技術を大事にする姿勢を貫いていて、こういう人がこれからの日本にもっと必要になると思えた。
「国富論」というに値するかはわからないが、学生、ビジネスパーソン、政策関係者などすべての人が読む価値がある本だと思う。
是非ご一読を。
Wednesday, October 31, 2007
21世紀の国富論
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