Thursday, December 13, 2007

ウェブ進化論

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ウェブ進化論 ‐本当の大変化はこれから始まる <梅田 望夫>

「ウェブ時代をゆく」のレビューの前に以前読んだウェブ進化論の復習を少し。
世に出されたのは2006年春だったが、僕はかなり遅れてから購入した。
世間を騒がせたこの本はやはり面白く、ウェブ社会が急激な進化をしているとはいえ、今でもまだ賞味期限切れではないと思う。実際、遅れてから読んだ僕にも多大な影響を及ぼした本で、インターネットを利用する時間も読む以前より格段に増えたと思う。

Web2.0、ロングテール、グーグル、アマゾン、オープンソースなどのキーワードにからめて、次代の社会を語る。今でこそ誰でもこれらのキーワードは聞いたことがあるだろうし、当たり前のことのようにも感じられているが、本書を読むことで梅田さんがこれらのキーワードをどのように捉えているかが分かる。そしてその捉え方が非常に心地よいし、読者を attract する。
postscript に書かれているが、著者が“optimism”を意識して執筆したらしいこともあり、この本を読むと元気が出る。そして明るい未来も見えてくる。新しい社会の到来は、細かなところに目を向けるまでもなく、不安に満ちているもので問題も数多く発生する。しかし、このような日の出を見るような心持ちで書かれた本があってもいいだろう。 そういう意味でも、この本は価値ある「進化論」なのではないだろうか。

特に面白かった具体的内容を個人的に列挙させてもらえば次の5つだろうか。
・インターネットの未曾有の力によって新しいパラダイムと新たな経済圏が生まれ、やがてそれが拡大し、リアルな世界の構造さえも変えうるという考え。
・グーグルを中心としたそのような動きによって経済格差の是正がなされるという考え。
・ネットの「あちら側」、「こちら側」という考え。
・総表現社会到来の予言。
・無限大 × 0 = something という考え。

他にも本書の中には、思わずなるほどそうなのかとうなってしまう考えがちりばめられていて、単なる社会現象理解のための本とは一線を画する。梅田さんには、革命の中にいて革命を客観的に捉える力が人の何倍もあると思う。そしてそれのみならず、捉えたものを他の人にも知らせるための表現力がずば抜けている。小説以外でこれだけ読んでいて楽しい本は久しぶりで、1回も眉間にシワがよることがなかった。今になってももっと多くの人に読んで欲しいと思える本だ。
 

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