Friday, November 02, 2007

The 7 Habits of Highly Effective People

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7つの習慣―成功には原則があった!  
<スティーブン・R. コヴィー, ジェームス・スキナー, 川西 茂>

自己啓発書、ビジネス書というジャンルでは現在最も売れているものの一つ。

ゆっくりと通読してみての感想は
「まぁフツーにいいことが書かれている本」
という感じ。
世を出回る自己啓発書には「7つの習慣」の各習慣について部分的に pick up して掘り下げたり、もしくはおかしな方向にもっていったりしたものが多い。 いや、ほとんど。
この本が絶賛されるのは、それを体系だてて、無駄をそぎおとし、シンプルにかつ、具体例を入れて読者に響きやすくまとめあげているからだろう。
500ページほどあっても、誰でもスラスラ読み返せるような軽さというのも、この手の本には重要な要素かもしれない。

ただし、自分としては、一つだけしっくりこないところがあり、100点満点でいうと90点は超えないという感じだ。
というのも、本書における「成功」という言葉、概念が非常に鼻につくような、うっとうしいような…そんな感じがあるからだ。

これについて個人的には以下の2つの信念がある。
・「成功」の定義は万人に共有され得ない。
・「成功」は結果であって目的ではない。

⇒訳者のせいなのか、もともとのニュアンスとしてそうなのか分からないが、「成功」という言葉を一般的な定義があるかのようにあまり多用してほしくなかった。
⇒成功を目的にしているような印象を受ける。はたして、「成功」することが人生の目的か?

上記の箇条書きの中では「成功」という言葉をあえて人生の成功という意味で使ったが、僕としては人生の成功というのは定義不可能なものだと思っている。本来、「成功」というのは短期的な目標が達成されたときや、基準が明確なケースでその基準を満たすなど、どちらかというと “achieve” に近い意味であって、人生という1人の人間の生涯をこれと同じとみなすのは違う気がする。「成功は結果であって目的ではない。」という言葉はフローベールのものだが、この言葉が的を射ていると思うのは、そういう理由からだ。だから本書が、マクロな人生レベルでの指南をしているのに対し、それが成功のためだとすることに対して違和感がぬぐえないのだ。
 
個々の内容は良かっただけに、安易に「成功」と言わずに、もっと謙虚な本であってほしかった。
 

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