Friday, November 09, 2007

作文技術の古典

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理科系の作文技術 <木下 是雄>

再版を繰り返し20年以上に渡って読みつがれている名著。バイブルとしても多くの人に知られているこの本だが、実は高校の時に買わされて以来、家に眠っていた。
改めて読んでみるとやはり素晴らしい内容だった。理系の人間はもちろん、「仕事」としての役割をもつ文書を作成する全ての人に大いに役立つ内容となっている。

文書作成の基本的な部分として
・論理展開の順序
・パラグラフの機能
・簡潔な表現
・逆茂木(さかもぎ)型文章

特に理系の「仕事」について
・記号、漢字、言葉づかい、単位、表記、文献引用

・日本人が多用する「~と思われる」「~と考えられる」といった受身形の表現について。
⇒筆者はこのような表現を責任回避の逃げ言葉だという。引用すれば「当否の最終的な判断を相手にゆだねて自分の考えをぼかした言い方」ということだ。

・意見と事実を書き分けるのは非常に重要で、レポートの主体は事実であること。
⇒ここで筆者は意見とは次の6つからなるという。
①推論(inference)
②判断(judgement)
③意見(opinion)
④確信(conviction)
⑤仮説(hypothesis)
⑥理論(theory)

他にも、図表の話やプレゼンについての指南が記されている。
バーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」とセットで読むとなおいいかもしれない。

両者の根本的主張は同じ。
すなわち、「仕事の文書」は読み手のためにあるものであって、自己満足のための文章ではないということだ。読み手が内容を理解するのに要する時間を最小化することは書き手の大きな仕事なのだ。
 

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